来季はメジャーリーガーが球界の常識になっている、巨人の上原投手。昨夜の広島戦は小笠原のサイクルクルヒットの陰で、6回4失点。3回に右足すねにライナーが直撃するアクシデントに耐え、6回まで投げた。
「先発投手としての役割は果たしたが、それでもかつての上原にはほど遠い。制球力で何とか、しのいだだけです」
上原に辛口の評価を下すのは、スポーツ紙の巨人担当記者。
来シーズンはFA権を行使、メジャー入りが確実視されているだけに手厳しい。記者の話はさらに続く。
「上原で気になるのは、生命線だった下半身の粘りがなくなったこと。それが球の切れと球威に影響しています。大リーグは制球力を重視しているといっても、球威があってのこと。上原が望む先発では厳しく、中継ぎや押さえ候補に格下げされたのではないか」
北京五輪の調整試合だったセ・リーグとパ・リーグの選抜チームとの東京ドームでの試合には、大リーグのスカウトがネット裏に集結。押さえではあったが調子を戻しているのを確認した。
しかし、2、3年前は年俸10億円もありうると言われた評価が、せいぜい5億円と大暴落したことには変わらない。獲得に手を上げる球団は2、3球団と激減するのも確実だ。スポーツ紙デスクが解説する。
「原因のひとつは、北京五輪。韓国の投手を筆頭にいい素材がごろごろしていた。年俸の高い日本人を無理して取るほどではないことに気付いた。それに加えて、メジャー入りした日本人選手の不振も影響している」
不振の日本人選手とは昨シーズン、移籍した1年目の選手を指す。
走攻守3拍子そろった、第2のイチローとも期待されたカブスの福留。シーズン当初は大活躍したものの、いまでは代打での出場も多くなっている。投手はさらに無残だ。レンジャーズの福盛はとうの昔にマイナーリーグに落ち、ロイヤルズ・藪田もメジャーの40人枠から外されている。
「そこそこ活躍しているのはドジャースの黒田ぐらい。福盛と藪田はオフを待たずに、戦力外通告されておかしくない」(前出・デスク)
メジャーが目をつけている、もうひとりの有力候補、日ハムのダルビッシュも北京五輪で評価を下げた。2日のソフトバンク戦で8回1安打と好投しているが、それでも五輪前の評価には戻っていない。
「以前から指摘されていましたが、ダルは天井のない屋外球場の試合に弱い。(五輪予選の)キューバ戦で打ち込まれたのも、そのせいと見られている。ポスティングで獲得しなければならないのもネック。まだ22歳と若いですから、メジャーがダル取りに動くのは2、3年先になるのではないか」(前出・同)
それにしても、星野監督は罪作りなことをしてくれたものだ。メジャー候補だった中日・岩瀬は対象外になり、阪神の藤川も中継ぎとしてもメジャー入りのボーダーラインと、その株は急降下。
「スピードだけの藤川はともかく、岩瀬はクローザーとして有力候補だった。それが、あのていたらく。岩瀬はメジャーはあきらめているふしもあるくらいです」(前出・スポーツ紙記者)
レッドソックスの松坂はサイヤング賞の候補に上り、イチローは8年連続200本安打で将来、メジャーの野球殿堂入りが確実。対照的に、渡米を心の糧にしてきた後輩は海を渡ることさえ、叶わぬ夢に終わる可能性もなしとはしなくなった。
今季のシーズンオフはメジャーの話題が激減する冬になるかもしれない。