「ちょっとどころでは済まない被害になりそうです」。深刻な声でそう話すのは「ホテルアルファーワン新潟」(新潟市花園)の予約担当者。開催中止が決まった18日早朝から、宿泊のキャンセルが相次いだのだ。18、19日を合わせたキャンセル数は約30件・延べ約50人分にのぼり「2日間だけで損害額は少なくとも20万円以上。来週以降も中止になる可能性を考えるとゾッとします」と戦々恐々の様子。
今夏、新潟市内のホテルや観光地はそもそも客の不入りに悩まされていた。先月16日の新潟県中越沖地震による風評被害のせいだ。先のホテル従業員も「例年は、お盆の時期なら当日予約などもかなりあるんですが、梅雨明けの遅れや参院選の影響もあって、もともと予約が低調な上に、地震の影響でいわゆる“駆け込み観光客”もほとんどいません。今の新潟では週末の競馬ぐらいしかウリがなかったんですが…」と、さらに声のトーンを落としてしまった。
「万代シルバーホテル」(新潟市中央区)の被害はさらに甚大だ。同ホテルによれば、18、19日のキャンセル数は延べ約160人分。「うちの場合はレース観戦目的のお客様はもちろん、JRAの職員さんや馬主さん、競馬雑誌・新聞の媒体関係者など大口のお客さまが全部キャンセルですから。当初両日ともに満室でしたから、お断りしたお客様も多くいたんです」と、同ホテルのフロント係は被害の大きさにため息まじり。このまま新潟開催が全部中止になった場合、「被害額は最低でも350万円以上」と試算する。
【写真】例年ならお盆のこの時期、ホテル予約は非常に困難なはずだが、17日夜の段階でネット宿泊予約大手「楽天トラベル」の検索結果では、新潟市内の宿泊施設の18日予約分で256件もの予約可能物件が出る異常事態に陥っている)