警視庁生活安全特別捜査隊は2月5日までに、希少価値の高いJRの切符を転売目的で購入する行為を繰り返したとして、東京都迷惑防止条例違反(常習ダフ屋行為)容疑で、無職の男(47=東京都品川区豊町)と、同居の派遣社員の女(44)を逮捕した。
逮捕容疑は、昨年8月28日と9月18日、JR大崎駅で「ブルートレイン信州号」と「SLあきた路号」の指定席券6枚を転売目的で、計3120円(1枚520円)で購入した疑い。
男はこの切符6枚をインターネットオークションに出品し、千葉県の中学生ら3人に計約11万3000円で転売した。「信州号」の切符2枚は定価の60倍近い6万円の高値をつけて、中学生に売っていた。
「ブルートレイン信州号」はJR富士見駅(長野県)の開業110周年を記念して、長野駅〜富士見駅間を、昨年9月28日に1往復だけ運行した。寝台車を使った快速列車で、150席の指定券の往復分300席は、発売日の同8月28日に即日完売する人気だった。
同隊によると、男は鉄道ファン歴20年で、人気列車の切符や記念切符が発売される際には、発売日の前々日から寝袋持参で行列の先頭に並んで、“1番切符”を購入するほどの筋金入りのマニアで、愛好家の間では有名な人物だという。
共犯とされる女の口座には、ネットオークションの売上金とみられる約390万円が振り込まれており、同隊では関連を調べている。
男は「転売目的だったのは間違いない」と容疑を認めており、「13年の夏頃から始め、他にもやった」と供述している。
趣味が高じて転売を思いついたのだろうが、やったことは鉄道マニアの風上にも置けない悪質な行為だ。
(蔵元英二)
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