ネット上では「もろ本人だろ」「自分の曲だからパクリや著作権侵害にはならない」「勇気ある行動だ」「でも、こんなことして所属レコード会社との関係大丈夫か?」などとの声が挙がっている。
斉藤の行動は理解できると話すのは、ある音楽ライター。「斉藤さんは2009年に亡くなった忌野清志郎さん(享年58)の大ファンでしたからね。忌野さんは1988年にバンドRC SUCCESSIONで『Covers』を出そうとしたときに、内容が反原発ソングだったことを嫌った契約レコード会社とモメにモメて発売中止になった歴史がありますから。斉藤さんは、それを知った上でのアクションなのでは」。
1988年発売されたRC SUCCESSIONの「Covers」は、どれも有名な洋楽カバー曲に日本語詞をつけた内容。ゲストとしてジョニー・サンダース、山口冨士夫、三浦友和、泉谷しげる、坂本冬美、偽名でサザンオールスターズ桑田佳祐らが参加していた。「サマータイム・ブルース」では「電力は余ってる いらねえ ほしくねえ」などの歌詞が、原発プラント設計などの実績がある親会社を刺激しかねないと判断したレコード会社に「発禁」処分とされた。当時は、86年のチェルノブイリ原発事故の記憶が鮮明だったころ。そのため発売を望むファンの声が高まり、またマスコミに取り上げられたことで世論の後押しもあり、RC SUCCESSIONの古巣キティレコード(現・ユニバーサルミュージック)から発売された。結果、シングル・アルバム通じてRC SUCCESSION初のオリコンチャート1位に輝いた。
斉藤は、セルフカバーすることで、しかもヒット曲を替え歌にすることで今回の福島第一原発事故に対する自身の立ち位置を鮮明にしたかったのだろう。
ちなみに、この騒動で再注目されることになったシングル「ずっと好きだった」に収録されている「Phoenix (Live at NIPPON BUDOKAN 2010.3.5)」は忌野さんへ捧げた曲だと言われている。天国のキヨシローは「アッパレ!」と言っているかもしれない。