アメリカのキャラクターは特に映画公開時期に合わせ、日本でもスパイダーマンのコスチュームやダースベーダーのマスク等の商品展開が成されたものだが、なぜか本家・日本の代表キャラクターである「仮面ライダー」や「ウルトラマン」等のコスチュームグッズは今日においてはめっきり見られなくなってしまった。
例えば、レインボー造型から発売されている「仮面ライダー」シリーズのレプリカマスクのラインナップはいずれも1/2スケールだ。
何故日本では1/1スケールのプロップスーツやマスクが消滅してしまったのだろうか?
某版権元プロ関係者によれば、「実際に着用出来るグッズの消滅」の背景には、「犯罪などに悪用される恐れがあまりにも多いからだ」とコメントしている。
実際、上記の「スパイダーマンマスク」や「ダースベイダーマスク」は発売直後に見事なまでに犯罪アイテムとして悪用されてしまった。2010年5月28日には、茨城県の牛丼店「すき家水戸東店」において、スパイダーマンのマスクで顔を隠した強盗団が店のレジの売上金約3万円を奪って逃走するという事件があった。
本土アメリカにおいても、7月26日、ニューヨークのロングアイランドでダースベーダーに扮した銀行強盗が出現。もはや冗談を通り越して、見事なまでに暗黒面に堕ちてしまっている。
強盗が覆面を被り素顔を隠すのは常ではあるが、強盗の付けた面が「仮面ライダー」や「ウルトラマン」では洒落にならない。メーカーや版権元にとっても、キャラクターのイメージダウンにつながってしまう。そんなリスクを背負う位であれば、最初から被り物は出さない方がいいと考えるのは自明の理であろう。
しかしながら、一方で「大人向けの本格変身ベルト」というコンセプトでリリースされている「コンプリートセレクション」や、変身ベルトの1/1サイズのプロップ等、“顔を隠さない形”でのアイテムは充実していっている。これは唯一の救いであろうか。
クオリティはそのままに、1/2スケールで制作されたマスクも決して悪くは無いが、やはり実物サイズのプロップアイテムこそ燃えるものだ。
どうか、ハイエンドユーザーが実寸サイズのレプリカマスクを収集できる平和な世の中になってくれることを願ってやまないものである。
(小野寺浩 山口敏太郎事務所)
【参照】山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou