2008年のキーワードといえば、流行語大賞に選出された「アラフォー」だろう。ただ、これを馬齢換算してしまうと9〜10歳。いくら何でも競走馬がその年までピークの状態を維持するのは無理。そこで、ひとひねりして「アラフォー=円熟期の女性」と解釈すると、該当馬が1頭。カワカミプリンセスがそれだ。
華々しく宝塚(市内にある阪神競馬場)でデビューを飾り、樫&秋華賞の2冠を初めて無敗で制した蹄跡は、史上最速で月組主演男役の座を射止めた「アラフォー」のヒロインとどこか重なるといったら飛躍しすぎだろうか。しかも、カワカミはキャリアを積むにつれ、文字通り、“注文の多い女”へと変貌を遂げた。斜行(06年エ女王杯1着入線→12着)に始まり、骨折、筋肉痛…。その癖は現在も変わらず、エ女王杯の1週前追いで大暴走。
とはいえ、この秋は無事に2戦を消化。これほど順調にきたのは4歳春以来だ。復帰後2戦の(2)(2)着も初戦は太めで、直後にマイルCSを制すブルーメンブラットから1/2馬身差、そして、エ女王杯は前述に記した通り、オーバーワークが最たる敗因だ。その点、今回は“崖っぷち”にあることを自ら悟ったのか、中間の調整は至ってスムーズ。古馬になってから最高の仕上がりを見せている。
牡馬相手でも通用することは、今春の金鯱賞で、後の宝塚記念馬エイシンデピュティ相手に0秒2差3着した内容が示す通り。何より、今回は前に行きたい馬がそろい、身上の決め手を生かすには絶好の展開が見込める。今年、不惑を迎えた横山典との“アラフォーコンビ”が、全馬まとめて面倒みる!