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田中正直のウェブランニングクリニック 「第33回 高校総体の思い出」

 今回は私の高校時代の思い出を少し書きたいと思います。

 思い出といっても大失敗です。なぜ、そう思ったか? 先日高校総体のテレビを見て懐かしく感じたからです。高校総体というと聞き慣れない方もいると思いますが、「インターハイ」と言えばピンときますよね。
 各スポーツの全国大会が毎年同じ県、もしくは2県で同時開催するのです。高校生の国内オリンピックみたいな感じです。

 私も高校3年生の頃に北海道代表として、5000mと3000障害出場しました。インターハイに出るためには、北海道であれば地区大会6位入賞で北海道大会の出場権もらえ、北海道大会で6位までに入賞するとインターハイの出場権がもらえます。
 北海道以外は、地区・都府県・ブロック大会となります。ブロック大会とは、東北、北関東、南関東のような区分けです。北海道は1つ関門が少ないので素直にラッキーですね。

 私が高校3年生の時は、鳥取県で開催されていました。夏に北海道から出ることがなかったので、鳥取で初めて体験した35度は今でも鮮明に覚えています。クーラーのない青少年自然の家で8人部屋。レース前に気持ちがダレていましたね。緩み過ぎて緊張もありませんでした。しかし、すごい道産子もいました。男子100mで道産子が優勝したり、槍投げで優勝、800m、1500m入賞などなどかなり北海道勢が活躍した年でした。

 私は、2種目とも予選敗退でした。5000mは代表全員が予選敗退、3000m障害は3人が決勝進出と明暗が分かれた長距離でした。

 私の大失敗エピソードですが、事件は5000mでおきました。私の組には、高校記録保持者のケニアからの留学生「ジュリアス・ギタヒ」君がいました。
 号砲とともに、彼だけ飛び出していってしまいました。私は大きな集団で走ります。12周半しますが、4周目頃からポツポツと選手が離れていきます。私も6周目あたりから離れ、18人中15番目くらいを走っていました。サウナの中を走っているかのような暑さに感じます。予選通過よりも、同じ北海道人に負けられないといった違う目標になってました。
 ダラダラとペースが落ちながらも、周回数表示板もようやく1になり、得意のスパートです。昔からスパートは得意だったので、一気にペースを上げます。これで暑さから解放されると思ったらいつも以上にパワーが出ました。200mで5人くらい抜き、残り200m! ここで同級生が大きな声で応援。
 「田中はあと1周だよ〜」暑さでおかしくなっている頭がパニックです。「ガンバレ〜」ではないことに驚き、意味がわからない。
 田中は? 後ろを見たらギタヒ君が残り200mのスパート!
 まさかのミス!!

 あの周回数表示板は、ギタヒ君に対するものでした。力が抜けた私は、抜いた相手にまた抜かれ、ようやく本当のラスト1周へ。ラスト200mは、また豪快にスパートし数人を抜いてゴール。周りから見ると、ギタヒ君に抜かれないようにスパートした子に見えたようです。しかし、同級生はわかってくれていたんですね。今でも友達と笑い話として話題に上がります。

 大学を卒業して、日清食品(現日清食品ホールディングス)に入社しました。
 そこで、高校卒業して日清食品に入っていたギタヒ君と同じチームになりました。ある日、覚えているか聞いてみたら、私とは知りませんでしたが、ユニフォームの色まで覚えていました。ギタヒ君にとっても不思議な子に見えていたようです。2人で大笑いしたことは言うまでもありません。

 大舞台での大失敗は一生忘れることはないでしょう。

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