60億分の1の男が久しぶりに日本のマットに姿を現した。
昨年9月23日の「DREAM.6」であいさつして以来となる日本のリングに立ったヒョードル。この日はエキシビションながら、2007年大みそかの「やれんのか!」で、チェ・ホンマン戦に勝利して以来となる日本のマットで、健在ぶりをアピールした。
ヒョードルが「軽量級でこんなに強い選手がいるとは思ってもみなかった」と認めるDREAMライト級の最強グラップラー“跳関十段”青木と、熱のこもった実戦さながらの攻防を展開した。わずか3分の間にフロントスープレックスや払い腰、リバースパワースラムなど豪快な投げ技を披露し、グラップリングでも青木を圧倒。終了間際にはアキレス腱固めでタップを奪う圧巻の動きを披露した。
日本のファンを魅了した人類最強の男だが、次戦はいつになるのか。ヒョードルをマネジメントするM-1グローバルのワジム代表は「次戦は7から8月をメドに交渉している」とした上で「日本で行われる可能性もある。いま、日本側とも交渉している」と明かす。
日本で試合をするとなれば、M-1と協力関係にあるDREAMの舞台。DREAM笹原圭一プロデューサーもヒョードル側との交渉を認め「可能性はある。ヒョードルもワジムも日本で試合をしたがっている。ヒョードルの魂を受け止められるような相手を用意できれば」と意気込む。
しかし、現状ではヒョードルが日本のリングで試合するには条件がそろわない。某テレビ関係者によれば「ヒョードルのファイトマネーをどこまで抑えた形で交渉できるかにもよりますが、いまの日本の格闘技団体の運営状況ならビッグマッチ以外には、そう簡単に呼べない。それこそ彼ひとりで一大会すべての選手のギャラを超えてしまうほどですから。それにテレビ的には彼ひとりで数字を取れるとは考え難いですし、費用対効果を考えても厳しい」と、ケタ違いの超高額ファイトマネーを問題点に指摘する。
いまや日本では年に1回も拝めなくなったヒョードルのガチンコバトル。PRIDEヘビー級王者だったころのように、人類最強の男がまた日本のMMAリングの最前線で闘う日は来るのだろうか。