海外ニュースサイト『Daily Mail』は2016年8月5日、アメリカ・サウスカロライナ州在住の当時23歳の母親が、夫の気を引くために、当時1歳5カ月の娘を殺害したと報じた。同記事によると、母親は妊娠してから夫への愛情が自身よりも子供に向いていると感じ始め、出産後は娘への嫉妬心がさらに強まったそうだ。母親は夫の愛情を取り戻すため、ある日、娘にティースプーン1杯の塩を与えて娘を殺害した。
母親が娘に塩を与えたのは1回のみだが、1歳5カ月の幼児にとってティースプーン1杯の塩は高ナトリウム血症を引き起こすには十分な量といえるそうだ。高ナトリウム血症とは、血液中のナトリウム濃度が高くなることで起こる脱水症状のこと。塩分の過剰な摂取により体内の水分が失われ、錯乱や筋肉のひきつりが起こり、最悪の場合は死に至ることもある。
娘は病院に運ばれたが、4日後に死亡。母親は逮捕された。母親は警察の調べに対し、「夫を自分の人生の中に取り戻したかった」と話しているという。
このニュースが世界に広がると、ネット上では「娘を殺す前に夫と話し合うことはできなかったの?」「そんな人は母親になるべきではない」「子供に罪はない。自己中心的な考え方」という声が寄せられた。
実の娘に嫉妬して殺害するなど、考えられない母親の方が多いだろう。しかし心理学的に、母親が娘に嫉妬することは珍しくないようだ。
「結婚後、夫が妻より子供優先になることはよくありますが、そういった夫の態度を見て、母親は自分自身の価値に疑問を感じ、欠乏感を覚える傾向にあります。その欠乏観が耐えがたい苦痛となり、結果的に娘に対して『あんたなんていなければよかった』と否定的な感情が芽生えてくるんですね。これは珍しいことではありません」(心理カウンセラー)
日常でも母親が娘に嫉妬しているという場面はよく見られるらしい。
「特に娘が思春期を迎えると、派手な格好や、露出が多い格好をする娘に注意する母親は多いでしょう。しかしこれは“娘が女性になることに対する嫉妬の一つ”でもあるんです。母親自身も気づいていないことが多いですが、娘は息子と違って同じ女性なので、だんだん女性らしく美しくなっていく娘が気に食わなくなります。基本的に女性は、自分にはない美しさを持っている同性に嫉妬を覚えるんです。母親の嫉妬を感じやすい環境下で育った娘は、母親の前で父親に甘えることができなかったり、自己否定しがちになります」(前出・同)
娘への嫉妬から殺害に至るケースは少ないだろう。しかし娘を持つ母親は「自分は違う」と思う前に、無意識に娘を傷つけていないか鑑みることも必要かもしれない。