男は今年5月、自宅マンションで妻の頭をフライパンで殴った上、包丁で刺すなどして殺害。その後、自らの首も包丁で刺し、重傷を負い入院していた。24日になり回復したため、殺人容疑で逮捕された。
長年寄り添った妻をフライパンで殴打した上、包丁で刺し殺すとは、まさに「狂気の沙汰」だが、この裏には複雑な事情があった。殺された妻は認知症を患っていた上、体の一部に麻痺があるため、歩くこともままならず、訪問介護や訪問看護を受けていたのだ。
夫は警察に対し、容疑を認めた上で、「妻の認知症が重く、このまま生きていくのは可哀想だと思った。一緒に死んであげようと思った」などと供述しているという。
このなんともやりきれない事件に、ネットユーザーからは「殺人は許せないけど、同情する部分もある」「長年連れ添った夫の優しさだったと思う。かなり辛い決断だったのでは」「心中察してあげたい」という同情的な声が。
一方で、「どんなことがあっても人を殺してはだめ」「一緒に死んであげたいと言いながら、自分は生き残っている。実は殺意だけだったのでは」「情状酌量の余地はあるんだろうけど、殺し方が酷すぎて、額面通り受け取れない」という批判も多かった。
そして、2人が年の差婚だったことに触れ、「年の差があるとこうなる可能性がある」「最悪の結末だと思う」という意見や、「長生きしても良いことがない」「福祉が全く充実していない」「こうなるくらいなら早く死にたい」という嘆きも。また、「安楽死を認めるべきだ」という指摘も出た。
高齢化社会を迎える中で、今回のケースのように高齢者が高齢者を介護する「老老介護」は社会問題化している。特に介護施設などに入所するお金がない上、相談する人が居ない場合、どうしても介護者が悩み抱え込んでしまい、心中に発展するケースは多々発生している。
このようなケースを防ぐような「社会的仕組み」が必要だが、現状追いついていない。このような事件が今後増える可能性は、高いと言わざるを得ない。