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事件法廷「40歳“マイホームパパ”盗撮魔」

 紺のストライプ柄スーツを着こなすM(40)はまじめな紳士といった印象で、とても“盗撮魔”には見えない。東京地裁で昨年12月、盗撮行為で都迷惑防止条例違反の罪に問われたMの初公判があり、盗撮魔の“公開恥辱刑”に驚いた。

 起訴状などによると、昨年10月、東京駅構内で女性(18)のスカートの中を盗撮し、犯行に気付いた周囲の男性から取り押さえられた。Mは起訴事実を全面的に認めている。その手口は、盗撮用デジタルカメラをセットしたバッグに“フラッシュ代わり”のペンライトを忍ばせ、より鮮明な画像を追求するというマニアックなものだった。
 検察側は、Mが自宅のパソコンに盗撮画像を保存していたと指摘。「週に2、3度の盗撮と、その画像をもとに週3回自慰を行っていた」と“使用法”まで暴いた。
 Mは少なくとも3年前から盗撮を繰り返しており、被害は相当数に上ると推測される。昨年、同種犯罪で罰金刑を受けたことも明らかにされた。

 被告人質問では、犯行のきっかけを「仕事上のストレス」と自己分析。これには検察官はもとより、弁護人からも「仕事のストレスと今回の件は結びつきがないように思うが」と厳しい声が上がった。繰り返し盗撮した理由については「なかなかうまく撮れず、『次は』という気持ちになった。『あと1回』が続いた」と妙な向上心をチラリ。すんなり盗撮できないストレスも溜まったといわんばかりだった。
 弁護側証人としてMの妻が証言台に立った。
 「誕生日にはケーキを買ってきてくれたりするとてもやさしい人。育児にも100%協力してくれる」と、2児の父親の“マイホームパパ”ぶりを訴え、二度と変態行為に走ることのないよう監督していくと誓った。
 厳粛な法廷で、夫の自慰回数やオカズを聞かされる妻はたまったものではない。Mは「特に妻には非常に迷惑をかけ、恥ずかしい思いをさせた。次にまたやると離婚だろうし、大好きな子供にも会えなくなる。二度としない」などと謝罪した。

 裁判官は「身内には理想的な人物のようだが、無関係の他人をモノとして見ているのでは」と問い詰めた。Mは「そういうところはあると思います」と消え入りそうな声で答えるのがやっと。即日結審し、判決が言い渡された。求刑1年に対し、懲役1年(執行猶予3年)の猶予付き判決。しかしMは今回の件で職場を解雇されている。不況の折、すぐに次の職にありつける保証はない。変態行為の代償はあまりにも大ききかった。(阿部雄二)

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