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『江〜姫たちの戦国〜』第26回、朝鮮出兵で「戦は嫌」を再確認

 NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』の第26回「母になる時」が、7月10日に放送された。今回はサブタイトルの通り、豊臣秀勝(AKIRA)と結婚した江(上野樹里)は娘・完子を産む。しかし、それ以上に朝鮮出兵に出陣する秀勝との別れの悲しみが前面に出された。

 『江』は戦国時代劇ながら、女性の立場から主人公に「戦は嫌」と主張させている。江の「戦は嫌」を裏付ける戦争の悲劇も、父・浅井長政を失った小谷落城や母・市と義父・柴田勝家を失った北ノ庄落城で描いてきた。しかし、小谷落城も北ノ庄落城も何度も時代劇で描かれてきた定番シーンである。しかも、長政にも勝家にも権力者への屈服を潔しとしない敗者の美学があり、純粋に戦争の悲劇性だけを伝えるものではなかった。
 それに対して今回の朝鮮出兵では戦争の悲劇を色濃く描いた。朝鮮出兵は過去の大河ドラマでも無謀・無益な戦争という描き方が定着している。しかし、日本軍は一貫して攻める側で、国内が戦場になった訳ではなかった。それ故に徒労に終わった戦争として語られるものの、戦争の犠牲は描かれにくかった。

 『江』でも冒頭で徳川秀忠(向井理)が朝鮮出兵を「猿のたわごと」と酷評する。一方で『江』には朝鮮出兵を無益な戦争とするだけでは済まない事情がある。江の夫の秀勝が出兵中に病没したという史実があるためで、江は戦争の犠牲者である。
 ホームドラマ要素の強い『江』では合戦シーンは省略される傾向にある。朝鮮出兵もナレーション中心であるが、秀勝の在陣シーンでは短いながらも朝鮮出兵が朝鮮の人民を苦しめている様子が描かれる。そして秀勝の死因も戦を嫌う江の思いが反映されたものになった。
 改めて江は戦争の悲劇を体感することになった。これまでの江は序盤の伸び伸びとした子ども時代の印象をひきずってきたが、身重の体で夫を亡くすという不幸に見舞われた。悲しみに沈む上野樹里の大人の演技を次回は期待したい。

(林田力)

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