市内の神社で最大の氏子をもつ御霊神社。創祀は延暦十九(800)年、桓武天皇の勅命とされる。祭神は光仁天皇の皇后・井上(いがみ)内親王と御子の他戸(おさべ)親王ほか御霊六座を含む八座。古来、疫病退散の神として知れ渡ったが、最近は縁結びのご神徳が話題だ。
渡御式は10月13日。カレンダーに合わせ、本来の祭礼日に一番近い土日へと日程を変更せざるをえない神社が多いなかで、御霊神社は伝統の日付を守り続けている。これは神社側の情熱はもろちん、氏子有志の努力によるところが大きい。お手伝いさせていただいたことで、それを強く実感することができた。
江戸末期には、お渡り行列は図絵に描かれるほどの華やかさを誇ったが、時代の変化をうけ存続の危機に直面したこともあったという。現在の有志メンバーが祭礼に参加し始めて17年。今では花傘なども復活し、年々賑やかになっている。
準備や着付けなどほんの小さな手伝いの後、法被をお借りして最後尾に参列させていただいた。玄関先で手を合わせる多くの人々に見送られ、行列が今年進んだコースは“内回り”。来年の“外回り”コースと合わせ2年をかけて全町内を巡り、神様自らが氏子の暮らしぶりを“ご覧になられる”ことに。
祭礼参加者の皆さんが子供のころ、例大祭といえば寒さしのぎのたき火がつきものだったとか。半袖姿を眺めながら、温暖化の影響にまで思いを馳せたひとときだった。
(写真「御霊神社へと帰着した御神輿」)
神社ライター 宮家美樹