「8日夕方、掛布二軍監督は神戸市内のホテルにくるよう、球団から伝えられていました。掛布二軍監督の任期は『今季終了まで』となっており、解任を察していたようですね」(在阪記者)
多くの若手を一軍戦力に引き上げた。また、二軍戦でありながら甲子園球場に1万人強の観客を集め、鳴尾浜の球場にも「企業広告の看板」が出るなど、球団は『掛布人気』を再認識させられていた。しかし、今季の阪神二軍は48勝55敗8分けで最下位(同時点)。指導者の世代交代であり、四藤慶一郎球団社長自らが慰労の言葉を伝えたということで、掛布二軍監督も受け入れるしかなかった。
掛布二軍監督は「オーナー付アドバイザー」としてのフロント入りも同時に打診されたが、こちらは返事を保留。定評のある打撃指導力、根強い人気…。他球団が放っておくはずがない。
「千葉ロッテの次期監督に予想する声も聞かれました。“井口次期監督”に繋ぐ前に、若手育成に長けた掛布氏にチームを再建してもらおう、と。郷里・千葉県の球団ですし、可能性はゼロではない」(前出・同)
ロッテ関係者によれば、解説者時代に監督就任の打診をしたことがあったという。御破算になった理由は「掛布氏が阪神への愛着を捨てきれなかったため」とのことだが、一方で、数年前に露呈した個人会社の経営難を知り、ロッテ側から打診を取り消したとの話も聞かれた。これは過去の話であって、掛布氏も身辺整理を終えているそうだが…。
「楽天のほうが(監督就任の)可能性がある」
関西方面で活躍する複数のプロ野球解説者が、そう予想している。掛布氏は東北楽天ゴールデンイーグルスの“初代監督”候補だった。「球界参入が適ったら」の前提のもとでの交渉だったが、掛布氏は「嬉しい!」とコメント。阪神ファンだった三木谷浩オーナーも自ら大阪入りして交渉にあったが、“破談”に終わっている。
当時を知る元球団スタッフがこう言う。
「破談とはいえば破談ですが、楽天側は『保留にしましょう』と掛布氏に伝えています。球団として提示した年俸が安すぎて、掛布氏も決心できなかったんです。当時の楽天スタッフは、監督に1億近い年俸を払う経営スタイルに疑問を持っていたので」
その後、楽天も考え方を変えている。
後半戦の失速で、梨田昌孝監督の去就が騒がれている。一部メディアは元ヤクルトの宮本慎也氏を有力候補として伝えていた。ヤクルトにしても、そうだ。高津臣吾二軍監督の昇格はまだ正式発表されていない。快進撃を続けるDeNAにしても、ラミレス監督の続投を決めかねている。
掛布氏はこうした他球団の動向を見据え、フロント入りの結論を出すのではないだろうか。
「千葉ロッテの涌井秀章が2度目のFA権を取得しましたが、ロッテは慰留に積極的ではありません。2億5000万円の年俸(推定)がネックになっているとされ、涌井のマネジメント会社には中日の森繁和監督、ヤクルトの高津二軍監督も在籍しています。西武・牧田和久も作ないFA権を取得しました。昨年オフの契約更改の時点で複数年契約を辞退しているのが気になります」(ベテラン記者)
涌井自身もロッテ残留を明言していない。退任の決まった伊東勤監督が熱心に誘ってくれたことが、13年オフのFA移籍に繋がったという。こういう移籍にまつわる師弟関係や、グラウンド以外でのネットワークを聞かされると、将来、一軍戦力を何人も育て上げた掛布氏を慕って“FA移籍する”選手も現れるのではないだろうか。ユニフォームに未練のある掛布氏が虎の宿敵に転じるかもしれない。