TARUとMAZADAは当時、悪役ユニットのブードゥー・マーダーズ(以下、VM)に所属。容疑は全日本プロレス5・29兵庫・神戸サンボーホール大会にて、試合前に控室でVMの同僚であるスーパー・ヘイトこと平井伸和選手(41)の顔面を拳で殴打。平井選手は試合に出場したが、試合直後に急性硬膜下血腫で倒れ、重傷を負わせた疑い。
容疑者の2人は12月13日、神戸区検に暴行罪で略式起訴された。神戸簡裁は同日、TARUに罰金30万円、MAZADAに罰金20万円の略式命令を出した。殴ったことと、平井選手が倒れたこととの因果関係が不明であるため、傷害罪ではなく暴行罪での起訴となったもようで、2人は罰金を支払って釈放された。
翌14日、MAZADAが謝罪会見を開き、今まで明かされなかった暴行事件の全貌を語った。MAZADAによると、試合前にTARUと平井選手が口論となって殴り合いを始めたため、MAZADAを含めた3人が止めに入ったという。それでも2人が興奮していたため、MAZADAが平井選手に平手でビンタ2発を当てて落ち着かせた。その後、また口論となって、MAZADAが止めていたところに、業界の先輩が入って注意して、事態は収拾したという。
MAZADAの証言が真実であれば、TARUの一方的な暴行というよりケンカ。MAZADAは収めるために、少し手を出した程度で、全日本もその証言を信用して、MAZADAの出場停止処分を1カ月で解除したとみられる。
ただ、平井選手が試合後、硬膜下血腫で倒れ、重度の記憶障害が残るなど、日常生活にも大きな支障が出ているのは事実。暴行と平井選手が倒れたこととの因果関係は明らかになっていないが、今後、平井選手のご家族が民事訴訟に打って出る可能性もあるだろう。
MAZADAは「使ってくれるところがあれば」とプロレスラーを続けたい意向。全日本・内田雅之社長は「まずは司法の判断が出たということ。今後の経緯を見守りたい」と語るにとどめた。
(落合一郎)