ベイスターズ期待の5年目右腕、平良拳太郎と5年目キャッチャー、嶺井博希。ともに南国沖縄出身で、お互いの事を熟知しているとの理由で「タコライスコンビ」とラミレス監督から命名された。
☆ステップアップした平良
平良はFA移籍でジャイアンツに入団した山口俊の人的補償として、ベイスターズにやって来た。昨年待望のプロ初勝利を挙げたが、その1勝のみで3敗を喫し、ベイスターズでの一年目を終えた。オフには球速を上げるためにストレッチに時間を割き、その結果、ストレートはコンスタントに140キロを超えるようになる。今年は5回の先発機会を与えられ、2勝1敗で防御率2.59の成績を残している。
☆不振の嶺井
女房役の嶺井は、2015年に74試合に出場するも、翌年に戸柱恭孝が入団してくると、わずか11試合に激減。しかし、CSでファーストステージを勝ち抜ける決勝打を放つと、昨年は主に左ピッチャーの際にスタメン出場。「打の嶺井、守の戸柱」としての併用が続いた。今年は嶺井、戸柱ともに不調に陥り、チームはトレードで伊藤光を獲得。伊藤はいきなり主戦キャッチャーとして起用されるなど、嶺井にとってここまで不本意なシーズンとなっている。
☆潮目の変わる可能性
タコライスコンビは8月7日の神宮球場で、緩急自在のピッチングを見せ、苦手スワローズに勝利した。また、9連敗中だった「魔の火曜日」の呪縛も解いてみせた。
ジャイアンツ時代は3年目の4月に初先発を任されるなど、期待の大きかった平良。高田GMはドラフトの際もリストアップしていたそうで、プロテクトリストから外れている事を確認した時には、フロントと現場の意見が一致して獲得を決めた逸材。
嶺井はストッパー山崎康晃の亜細亜大学の先輩で、強い信頼関係で結ばれている。ルーキー時代からサヨナラヒットを放つなど、思い切りのいい打撃も魅力。聞き取れないがらがら声のヒーローインタビューは、ファンの楽しみのひとつになっている。
平良のストロングポイントを嶺井が引き出し、相乗効果で嶺井の調子も上がってくれば、チームには大きな力となる。南風に乗って、苦しむチームを上昇気流に乗せてもらいたい。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘