一部スポーツ紙が「1番遊撃・松井、2番右翼・鉄平、3番三塁・岩村、4番DH山崎、5番一塁・李、6番二塁・後藤、7番捕手・嶋、8番左翼・牧田、9番中堅・聖沢、投手・田中将大」のオーダーまで作り、「実現なるか…楽天来季の夢のオーダー」のタイトルをつけ、1面で扱っている。多くのスポーツ紙が「早大・斎藤佑樹が明治神宮大会優勝、涙の有終の美」を1面でいった日に。これこそ、星野流マスコミ操縦術の一環で、星野監督はニンマリしているだろう。
日本ハム入りする斎藤佑樹の人気は、星野楽天にとって最大の脅威だ。今後も常にマスコミジャックされる恐れがついて回る。それに対抗して、楽天に目を向けさせるには、スポーツ紙が飛びつく意外性のある話題作りが欠かせない。そのネタ作りを得意中の得意とするのが星野監督だ。
巨人を首になり、日本球界残留を熱望している李を獲得して再生すれば、マスコミが大きく取り上げる。そのへんを知り尽くして、李獲りをぶち上げるのだ。狙い通りにスポーツ紙が1社だけでも食いついてくれたのは、星野監督の思惑通りだ。
「星野のやり方は、FAやトレードで大物選手を取ることや。阪神では成功したが、金に渋い楽天ではうまくいかんやろな」。野村克也前監督(現楽天名誉監督)は、楽天での星野流巨大補強のお手並み拝見を口にしていたが、星野監督は思い通りに事を運んでいる。
阪神で金本、伊良部、下柳ら大物を補強して18年ぶりの優勝をもたらしたように、楽天ファンにも夢をもたらす補強をしようとしている。
「中日で加藤オーナー、阪神でも久万オーナー、楽天では三木谷球団会長と、いきなりトップの心をわしづかみにして、思うように補強費を出させるのが星野流処世術。ゼネラルマネージャーの肩書きはなくても、実際はGM兼任監督だから、好きなように選手補強もできる。そのへんが、ヤクルトでも阪神でも楽天でも『球団がロクな選手を取ってくれん。金を出さん』と嘆くだけのノムさん(野村氏)との大きな違い」。星野人脈の球界OBがこう言い切り、さらに付け加える。
「ノムさんが星野阪神優勝の時に、『ワシが3年間苦労して(3年連続最下位)チームの土台作りをしたから優勝できたんや』と、土台作りという自らの手柄を必死になってPR。その時も、笑って『ノムさんの言う通りや。ノムさんのおかげやな』と、余裕を持って認めている。実際の野村遺産は赤星1人だけで、優勝したのは、金本、伊良部、下柳のトリオで星野監督の手腕だ。それでも、球界の大先輩に敬意を表しておけば、球団トップの星野評価上がるからね。あの毒ガス口撃のノムさんさえ手玉に取ってしまうのが星野流だ。ただ年俸1億円ともいわれる楽天名誉監督の肩書きのあるノムさんが言い過ぎると、今度は黙っていないだろう」
星野監督vs野村名誉監督の場外戦勃発となれば、マスコミは放っておかないだろう。それはそれで、野球ファンの注目も集めることになる。日本ハム・斎藤佑樹旋風と同時に、星野楽天から目を離せない。