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2011年『12球団合同トライアウト』 野球を続けたい!彼らの願いは叶うか 古木克明編

 11月24日、12球団合同トライアウトが実施された。当番球団のオリックスバファローズによれば、同日スタンド観戦したファンは約1200人だという。受験選手たちには失礼な言い方になるかもしれないが、今年の受験者は“有名選手”も多かった。

 その有名選手の1人、古木克明の去就に注目が集まっている。古木は高校通算52本塁打を放ち、『将来の4番候補』として98年ドラフト1位で横浜に入団した。しかし、09年に移籍先のオリックスで『戦力外通告』を受け、トライアウト受験。獲得球団が現れず、格闘家に転身したが、今年4月の試合を最後に、復帰を決意。社会人クラブチーム『かずさマジック』で実戦的な練習も重ね、今回のトライアウト受験に至った。
 興味深かったのは、第2打席で放ったレフト前ヒットだった。吉川昌弘(元ヤクルト=33)にタイミングを外されたが、両腕を伸ばし、バットコントロールだけで左方向に流した。遊撃手が必死に後退したが、まるで守備位置を測ったように左翼手との間にポトリと落ちた。快心のヒットではなかったが、約2年もプロの実戦から遠ざかっていたとは思えない『適応力の高さ』を見せてくれた。

 その古木がトライアウト終了後、報道陣に囲まれた。

 −−今日のトライアウトを振り返って…。
 「(実践は)約5カ月ぶりですか…。かずさマジックでお世話になって、そこで実戦的な練習とかもやってたんですが、プロとアマは違いますから。その意味では今日やれたのは自身になりました」

 −−“プロの投手”と対戦してどうだった?
 「(第1打席で対戦した)下柳(剛=43/元阪神)さんのスライダーに(打撃フォームを)崩されたりとか、でも、(全体的には)いい感じでボールにも対応できました」

 −−トライアウト受験を決めたのは?
 「11月の頭(初旬)。自分のなかでは、覚悟はありました」

 −−そもそも、野球界に復帰しようと思った理由は?
 「格闘技をやっていて、色々なことを考えたんですね。こういうふうにすれば面白かった、こうすれば良かったって…。それは後悔ではなく、前向きな意味で。そういう気持ちが重なってチャレンジしてみようと思った…」

 −−実際、復帰は大変だったと思うが…
 「復帰に対し、いろんな人に協力してもらい、本当に感謝しています。だから、最後の最後まで諦めない覚悟だし、まあ、年齢的にいつか現役引退を決めなきゃいけない時期が来るんだけど、それまで絶対に諦めないという覚悟でやります」

 −−では、格闘技を経験し、野球でプラスになったことは?
 「ボディーコントロールとか。バランスも良くなったと思う。体重? 今は野球で現役をやっていたころと同じくらい。格闘技をやっていたときは76?。『77?』で格闘技団体と契約したし。今の体重は、90?近くから80?に絞りました。野球は体重があって動ける方がいいですから」

 格闘技の世界で学んだものも多いようである。古木は「プロの投手からヒットを打った」ことが自信に繋がったという。また好きな野球ができる…。古木は「今日は楽しかった」とも話していた。

 トライアウトを受験しても、現役生活を続けられるとは限らない。その残酷なサバイバルテストの内情は分かっているはずだ。しかし、この日の古木は本当に野球を楽しんでいたように見えた。
 他にもオリックスからの受験者はいたが、古木が着ていたのは旧タイプのオリックスユニフォームで、ネクタイ姿で球場入りしたのも彼だけだった。本当に野球が好きなのだろう。好きなことから離れ、見えて来るものもある。最後に「飛ばないボール(2011年導入の低反発球)を打ってみたい」と笑っていたが、古木にも朗報が届くことを心から祈りたい。(スポーツライター・美山和也)

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