「山崎サンまで肩を叩かれたのだから、やっぱり…」
何が「やっぱり」なのかと言えば、今オフ、星野仙一監督(64)が『大量解雇』と『大量補強』を強攻するとの噂がシーズン中から絶えなかったのだ。
「阪神時代の最初のオフ、大量24人の選手入れ換えています。就任して最初のシーズンは様子見。その結果を踏まえ、お眼鏡に適わなかった選手は解雇・放出されました。楽天でも同じことを繰り返される、と」(球界関係者の1人)
中日指揮官のころから、星野監督は「トレード好き」で知られていたが、楽天指揮官に着任してからもその前兆は見られた。中日に大敗した5月23日、星野監督は「オマエら、全員クビや! オフにどうなるか覚悟しとけ!」と怒鳴り散らした。選手は驚くしかなかったが、翌日、関川浩一コーチが「監督は愛情がないと怒らない。それを分かってほしい」と、選手に発言の真意を説明し直していた。しかし、「愛情がどうのって言う前に、ああいう発言は…」と首を傾げる選手もいないわけではなかった。
感情の行き違いが、首脳陣と選手間の溝に繋がっていく。現楽天にそういうキナ臭い様相は見られないが、さらに逆上れば、星野監督が渡辺直人の放出を決めた際、全選手が「何故!?」とフロントに噛み付き、一部選手は涙まで流していた。チームの精神的支柱が山崎なら、まとめ役は渡辺だった。「星野監督はチームの内情を把握していない」と、非難する報道陣もいないわけではなかった。
チームの指揮が上がらなかった前半戦、やはり中日時代を知る仁村徹コーチが「渡辺放出の件? フロントに聞くとか泣くなんてプロ意識が低すぎる」と語っていた。このコメントは報道陣との質疑のなかで渡辺の名前が出たから答えたにすぎないが、「プロ意識の低さ」なる言葉は、楽天選手を傷つけたそうだ。星野監督の性格を知る両コーチの言動からして、今オフの大量解雇、大型補強は端から決めていたのではないかとも考えられる。
「山崎退団により、今後、チームをまとめられるのは嶋(基宏)1人になったと言っていい」(前出・同)
エース・岩隈久志(30)の海外FA権行使によるメジャー挑戦も規制路線である。
「08年高校生ドラフト1位の寺田龍平も戦力外を通告されました。プロの壁に苦しんでいますが、年齢的に見れば結論を出すのはまだ早い。それに現時点で『解雇』を申し渡された8人が全員、投手というのも気になります」
ライバル球団のスコアラーは星野監督の補強ターゲットは「投手」と読んでいた。12球団合同トライアウトまでの間、第2次、第3次の解雇者も発表される。これは他球団も同じだが、中日、阪神でのトレード、大型補強を思えば、星野監督はビッグネームの獲得を好んできた。大物選手を獲得するとなれば、それ相応の資金も必要となる。「選手総年俸で予定予算を超えたくない」との都合もあるのかもしれない。その影響で球団創設時を支えた選手のプライドが傷つけられたとしたら、星野監督は地元ファンとの間にも溝をつくってしまうだろう。