■知的障害者である兄の実生(ウダタカキ)の性処理のために、会社員の弟・幹生(小林且弥)が呼んだデリヘル嬢・マリンという役どころですが、マリンを演じた感想は?
内田:一見、社会を見下しているように見えるマリン。でも実はとても愛情深く情熱的な女性。風俗嬢も彼女にとっては、たまたま何かのきっかけでその仕事を選んだだけなのではないかと思います。マリン(ファラ)については特に役作りをしたわけでもなく、監督と話し合ってキャラクターを考えていきました。
■『ロストパラダイス・イン・トーキョー』は、海外の映画祭に正式出品されたり既に国内の映画賞も受賞していますが。
内田:純粋に「すごいなあ!」と。日本人からすればオーソドックスとも言えるこの物語が海外の観客にも受け入れられたということは、とても普遍的なテーマが描かれているんだと実感しましたね。
■幹生小林且弥さんとウダタカキさんはどんな方ですか?
内田:小林さんはとても頭のいい方。撮影の帰り道が一緒になったとき、ほとんど話しかけてもらえず(笑)、役柄に近いストイックな人なんじゃないかと。ウダさんは舞台にも多く出演されてることもあり、とても話しやすかったです。
■印象に残っているシーン、好きなシーンはどの場面ですか
内田:印象に残ってるのはファラ(地下アイドルとしての役名)のライブシーンですかね。私も歌詞づくりに参加して、実際のアイドルの方々に混じって歌ったんですよ。好きなシーンは兄弟とマリンが一番最初に出会うところです。
■昨年ご出演されたポツドール「愛の渦」など、舞台ではかなりキワドイ演技もされる内田さんですが、映画と舞台では仕事の取り組みで何か違う点はありますか。
内田:誰かを演じるということには変わりないと思います。取り組み方で違う点はよく分かりません。ただ、舞台は公演を重ねる度に発見があり、それを活かしていきますが、映画は異なる場所で新しいシーンを撮影するため、毎回そこまで気持ちを持っていかなければならない。最初はつらかったですが、だんだんそれが面白く思えてきました。
■最後にひとこと。
内田:人は自分で生きていかなければならないけど、決して独りなんかじゃない。映画『ロストパラダイス・イン・トーキョー』のマリン、幹生、実生の3人が寄り添って生きる姿を観て共感してもらえたら嬉しいです。
映画『ロストパラダイス・イン・トーキョー』
(監督:白石和彌 出演:小林且弥・内田 慈・ウダタカキ・奥田瑛二)
9月18日(土)〜10月8日(金) までポレポレ東中野にてレイトショー 連日20:45〜
オフィシャルサイト http://lostparadise.seesaa.net/