巨人の若大将といわれた現役当時と変わらない笑顔だった。昨11日、東京・大手町の読売新聞本社で渡辺球団会長、滝鼻オーナーと別個に会談。来シーズンも、引き続き巨人を指揮することになった。
「来年こそ日本一になってくれと言われました。契約年数は3年です」
席上、WBCへの全面協力も約束された。きょう12日、WBCの原ジャパン体制が正式発表されたあと、コーチ陣との初会合が開かれる。原監督が自ら望んでの就任ではなかったが、すでに覚悟はできている。巨人OBが言う。
「巨人の監督続投が決まって、内心ほっとしているだろう。WBCのアジアラウンドはいわば親会社のイベント。全力で取り組まないわけにはいかない。それに、世界の野球を指揮官として肌で接することは、原クンにとっても絶対プラスになる。こうと決めたら腹をくくれる男。心配ないよ」
コーチングスタッフとの初会合では、真っ先に選手構成が話し合われることになる。スポーツ紙デスクがこう言う。
「まずは、メジャーの日本人選手のだれを入れるかでしょう。大リーグに詳しい与田投手コーチの話を参考にしながら、リストアップされる。第1回大会のMVPだった松坂ら投手からスタートして、中心になる選手の骨格が決まるはずです」
メジャーリーガーが多数、はせ参じるのは間違いないが、まだ解決されるべき問題がある。イチロー、松坂らと原監督の仲だ。不満を持っているといわれているが…。
「たとえ、それが事実だとしても心配はない。王コミッショナー特別顧問がいるじゃないか。メジャーの日本人選手に、にらみが利くイチローが『全面協力する』と言ったのは、王ちゃんが頼んだからだ。それに山田投手コーチもコンタクトしているはず。前回の優勝監督とオリックスの大先輩から頼むと言われれば、断れるはずがない」(前出・巨人OB)
短期決戦で重要視されるのが投手。松坂、黒田の2本柱に岡島ら中継ぎ、クローザーの多くは大リーガーでそろえられる。野手はイチロー、岩村以外は日本の球界から選出することになる。大リーグ事情に詳しいフリージャーナリストが解説する。
「試合をするのは選手。それも、2連覇にもっとも燃えているイチローがコーチ的な立場から気合を入れれば、スイッチが入らないわけがない。原監督とイチローの共闘が実現すれば万全でしょう」
原監督とイチローの協力は、球界のみならずファンの願いでもある。