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2011年センバツ大会特集(2) 大会実施が決定 九州地区がマスコミ予想を覆す

 日本高校野球連盟(以下・高野連)は3月18日午後4時半、臨時運営委員会を開き、第83回選抜高校野球大会(以下センバツ)を予定通りことを決定した。

 同15日の組み合わせ抽選会に大阪入りできなかった東北高校に対し、高野連は被災状況の確認も行っていた。その件に関しては詳しい発表はされなかったが、同校から「開催されれば参加する」との返答を得て、臨時運営委員会に臨んだという。代表校・32校が全て出揃う−−。東日本大震災の混乱もまだおさまっていないだけにセンバツ大会の開催については賛否両論あったが、史上初めて予定されていた大会が中止になる事態は免れた。

 今大会で優勝候補に昨秋の神宮大会の覇者・日大三高(東京)を挙げる声も多く聞かれた。同校は昨年度のセンバツで準優勝。夏の甲子園大会は逃したが、センバツを経験したメンバーが新チームにも多く残り、都大会、神宮大会を盤石の戦いぶりで勝ち上がって行った。エースの吉永健太朗君(3年)はプロ注目の好投手。チーム打率3割4分4厘…。優勝候補に相応しいチーム成績ではあるが、「九州地区が強いよ」と話す高校監督も多かった。九州地区を推す声は甲子園を逃した学校からも聞かれた。
 九州地区からは、鹿児島実(鹿児島)、九州国際大付(福岡)、九州学院(熊本)、波佐見(長崎)の4校が出場する。鹿児島実は“プレ・センバツ”とも言える前述の神宮大会で日大三と決勝戦を争った。好左腕・野田昇吾投手(3年)が有名だが、改めて昨秋の九州大会のデータを見てみると、同大会4試合のチーム打率は3割8分6厘。昨夏甲子園で2試合38安打を放った強力打線の多くが、現チームに残っている。また、九州大会準優勝の九州国際大付も打線が強力だ。1試合平均得点は、福岡県大会で9・14点、九州大会は5・5点。特筆すべきは九州大会準々決勝戦(対沖縄尚学)。7回表に「7対6」と逆転を許したものの、その直後に3点を奪い返し、8回裏にも3得点を挙げた。波佐見は試合巧者である。出塁率の高い俊足タイプが多く、浅いフライでもタッチアップを狙い、「次の塁を狙う」の意識が浸透している。エース・松田遼馬投手(3年)は「九州で1、2位を争う好投手」とも称されている。
 「東の日大三、西の報徳学園」という報道陣の予想は覆されるかもしれない。

 今大会は東北勢への注目が高まる。東北勢の紹介はまた改めたいが、代表校・32校全ての球児の奮闘が「被災地の勇気となる」はずである。大会実施に関する批判的な意見も出ているようだが、「予定通り」と決まった今、我々大人は何ができるだろうか。彼らが野球に専念できる環境を最優先に考えてあげたい。(スポーツライター・美山和也)

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