5月場所で休場の憂き目に遭った幕内力士は、横綱・稀勢の里(初日から全休)、大関・高安(初日から全休)、大関・豪栄道(9日目から休場)、小結・遠藤(7日目から休場、10日目から再出場)、平幕・北勝富士(11日目から休場)の5名。彼らがいないなりにも盛りあがりを見せた土俵上だが、「休場がなければ…」と思った人も多いことだろう。
次場所である7月場所(愛知・ドルフィンズアリーナ)に向け、ファンは彼らになんとか調子を取り戻してもらいたいと願っている。こうした願いが叶うかは、“好機”である6月を彼らがどのように過ごすのかにかかっているだろう
日本相撲協会の公式サイトに掲載されている「相撲カレンダー」を見ると、6月に巡業をはじめとした主だった行事は予定されていない。これが何を意味するか、それは各力士が自分のペースでじっくりと調子を整えることができるということだ。
4月1日から27日までの日程で行われた5月場所前の春巡業では、期間中に1都2府11県を巡るという過酷な日程に各力士たちが駆り出された。全国各地に相撲の魅力を届ける大事な催し物である巡業だが、観客を前にした稽古やバスでの長距離移動が連日続くことで、各力士の調整ペースに狂いが生じるリスクがあるのもまた事実だ。
また、先の春巡業では舞鶴場所(4月4日)に端を発した“女人禁制”問題が世間で大きな物議を醸したのも記憶に新しい。角界にネガティブな論調がテレビ・ネット問わず飛び交った当時の状況が、各力士に精神的な負担を強いたということは想像に難くないだろう。事実、当時のネット上では無関係の力士に対し無差別的な批判をする人も散見された。
日本列島と同じく、巡業も梅雨入りを迎えている6月。“恵みの雨”を得た力士たちは、満足のいく調整をすることができるだろうか。
文 / 柴田雅人