米国に敗れ、勝ち点0という最悪のスタートとなった反町ジャパン。常にボールを支配し、終始試合を優位に進めながらも、「日本の力を出し切れていない。攻守で少しずつズレが生じていた」と、最後まで米国のゴールネットを揺らすことができなかった。
決定機をものにできなかったことが焦りにつながったのか。日本は前半21分、本田圭のショートコーナーから内田が絶妙のクロス。しかし、遠いサイドにいた森重はボールをミートできず、弱々しいシュートはゴールマウスの左に外れた。その後も日本は、再三のチャンスをものにできず、圧倒的に攻め込みながらも前半は0-0だった。
チャンスを生かせない日本は、逆に後半の立ち上がりに痛恨の失点を喫した。自陣左サイドの突破を許し、相手クロスを水本がクリア。だが、ホールデンが拾い、左足でシュートを放つと、本田拓のブロックと、鋭い反応を見せたGK西川をすり抜け、ボールは無情にもゴール内へと転がった。
警戒していた時間帯での失点。水本は「集中はしていたが、痛い1点だった」と嘆いたが後の祭りだった。
その後の日本は、動きの鈍った米国とは対照的に、選手交代を巧みに利用し、再三相手ゴールに迫った。後半途中からは李、豊田、岡崎とベンチにいたFW陣すべてを投入。最後まで攻めの姿勢を貫いた。しかし、これまで何度も指摘されてきた決定力不足を露呈したまま、無情のホイッスルを聞いた。
試合終了の笛が鳴り響いた瞬間、まるで五輪が終わったかのように反町ジャパンの面々は、ピッチに崩れ落ちた。無理もない。それほど初戦は重要だった。
初戦の敗戦によって日本は1次リーグ突破は非常に厳しくなった。
反町ジャパンと同じく16チームが4組に分かれて、各組2位までが準々決勝に進む方式で行われたのは過去8大会。1次リーグ初戦で黒星を喫した全46チーム中、準々決勝に進出したのは、わずか4チームしかない。米国に敗れた反町ジャパンは、1次リーグ突破にわずか8.7%という可能性に懸けるしかなくなってしまったのだ。
しかし、攻撃の形はできていた。次戦は強敵のナイジェリアとはいえ、「つけ入るスキはある」と言うのは、海外取材が多いフリーのサッカージャーナリスト。
「アフリカ勢は後半、気の抜けたプレーをすることが珍しくない。反町ジャパンがその時間帯に集中できれば、得点のシーンはある」
この日、同組のオランダVSナイジェリアが引き分けた。
批判を受けながらもオーバーエイジ(OA)枠を使わず、「このメンバーで1次リーグを突破してみせる」としていた反町監督。1次リーグ突破をあきらめるのは、まだ早いのだ。