国政転身まっしぐらの東国原氏と「改革派」知事の人気に便乗したい自民党の思惑は一致しており、長引く条件闘争はメディアジャックを狙った「出来レース」(党関係者)の感が強い。世論は任期途中の出馬には否定的で、党内では「逆に票が逃げる」(若手)との異論が噴出。出馬問題は麻生政権の新たな火ダネとなりかねない情勢だ。
「東国原氏の描くシナリオはグダグダ。『なぜ今なのか』『なぜ自民党なのか』という筋書きがしっかりしていないから、見ていてアホらしくなってくる。“演者”の力は認めるけれども、自民党内は冷ややか。国民的人気だけでここまできた政治家だから、それを失ったらおしまい。この猿芝居の代償は大きいと思うよ」(永田町関係者)
この日、党本部で会談した古賀氏は、作成中の衆院選マニフェスト(政権公約)を説明した上で重ねて自民党からの衆院選立候補を要請した。東国原氏は結論を持ち越した形となったが、複数の関係者は「出馬で大筋合意した」と述べた。正式な表明は衆院解散と同時期となる観測が強まっている。
古賀、東国原両氏も会談後、記者団に「前進している」と表明した。党内からは「関心を引きつけるため結論先延ばしを演出している」との指摘も。ただ今後の展開次第では物別れになる可能性も残っている。
先の読めた話には向かい風が強まるばかり。共同通信の世論調査では「立候補しない方がよい」が81.6%に上った。大阪府の橋下徹知事も、東国原氏とは「本質的に相いれない」と距離を置き始めた。
自民党は風向きにだけは敏感だ。笹川尭総務会長は7日、国会内で古賀氏に「世論の見方は厳しい。この問題は早く決着させた方がいい」。参院執行部会では脇雅史参院国対筆頭副委員長が「自民党にプラスにならない」と反対論をぶち上げた。閣僚経験者は「もう完全に漫画の世界だ」とあきれ果てる。
東国原氏は会談後、最終的な判断は解散後になるとの認識を示した。こんな猿芝居に付き合わされるのはもうゴメンだ。