現在、タバコを吸う人は「少数派」といえるが、かつての喫煙率は驚くべき数字だった。
JTの成人喫煙率調査によれば、昭和40(1965)年の喫煙率は、男性は82.3%、女性は15.7%である。呼吸器が弱いといった特別な事情がない限り、ほとんどの男性はタバコを吸っていたことになる。その分、現在のような禁煙ブームも起きておらず、飲食店はもちろん、オフィスや航空機や電車やバスなど、公共空間における喫煙も可能だった。赤ちゃんを抱っこする男性がタバコをくわえているといった、今ならば信じられない風景も当たり前にあったのだ。
さらに、昔のタバコは今よりもヘヴィーだった。ハイライトといえば発売時はタール20mg、ニコチン1.6mg(現在はタール17mg、ニコチン1.4mg)であり重いタバコの代名詞だが、昭和40(1960)年の発売時は、もっとも軽いタバコのひとつだった。さらに青いパッケージは、さわやかなイメージも思い起こさせるものだった。東海道新幹線や地下鉄東西線の青色の車体色はハイライトから取られたともいわれている。
その後喫煙率は下がり続けるが、昭和64年、平成元年(1989)年でも男性は61.1%、女性は12.7%と現在と比べれば高い数字をキープしている。やはり相次ぐ値上げや、健康意識や分煙意識の高まりが影響しているのかもしれない。それでも世界的に見れば、日本のタバコの値段は物価比からすれば安く、喫煙者の多い国のひとつではある。