そんななか、昨年、初のファイナル進出で3位に終わったかもめんたるは、1stステージで、路上で詩を売る少年と6億円の宝くじが当たった老人のやり取りをシュールに描いたコント「言葉売り」を見せて、堂々トップに。2ndステージでは、天竺鼠(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)、2位についていた鬼ケ島に猛追されながらも、都市伝説的なことを描いたコント「白い靴下」で逃げ切り、初の栄誉を手に入れた。
「自分の人生にこんな日が来るなんて。なんて日だ!」と、昨年の覇者・バイきんぐの小峠英二の名フレーズを口にしたのは、岩崎う大。今年3月、次男が誕生したばかりだ。いっぽう、昨年の『キングオブコント』出場後に結婚して、妻は妊娠6か月の槙尾ユウスケは、「この1年で単独ライブを2回やって、そのうち1回は3人芝居。90分コントを作ったりした」と、勝因を挙げた。
早稲田大学在学中に、岩崎が部長を務めていたお笑いサークルで出会い、5人組の「WAGE」を結成。解散後、ソロで大ブレイクした小島よしおに触発されて、コンビを組み、小島のあとを追うようにして、同じ事務所に入った。
「単純に、『キングオブコント』だけにとらわれずにという会議を、小島よしおとやってた。優勝してもしなくても、“かもめんたる会議”を開こうと話していた」(岩崎)と言うほど、小島とは同志だ。
同事務所からは、ピン芸人日本一決定戦『R-1ぐらんぷり2012』でスギちゃんが準優勝したのが、メジャーコンテストの最高位。かもめんたるにいたっては、「どんな小さな学生のものでも、優勝はしたことがなかったので、初めてのタイトル」(岩崎)だ。「こうしろああしろと言わない、いい意味での放し飼い」(槙尾)という事務所の方針も、コンビとプロダクションに初の栄冠をもたらせた理由だ。
優勝賞金の1,000万円は、「無償で手伝ってくれてたみなさんに、恩返し」(岩崎)と、現実的。岩崎はふたりの息子に、槙尾は妻のお腹に、最高の報告ができそうだ。(伊藤雅奈子)