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コンピューターゲームの20世紀 第7回…『ディーヴァ』

<発売時点で“無理ゲー”なのはディーヴァくらいのもの>
 今回紹介するゲームは、あのスターウォーズがお話にならないくらいの壮大なスペースオペラ作品『ディーヴァ』。1986年から1988年にかけて発売されたディーヴァは全7作に及ぶ“作品群”で、発売されたプラットフォームは全て異なるという究極の異端児である。
 共有する世界観のもと、機種ごとに異なる主人公とストーリーが用意されており、パスワードを入力することで他の作品のキャラを登場させることも可能という、非常に画期的な作品であった。
 対応ハードはPC88SR、FM77、X1、MSX、MSX2、FC、PC98(ストーリー順に列挙)と、往年の名ハードがズラッと並ぶ。なお、本作は随所にインド神話やインド哲学の影響が散見され、副題もそれに準じたものとなっている(PC88「ヴリトラの炎」MSX2「ソーマの杯」など)。そもそもディーヴァとは、インド神話における神々の総称だ。
 ゲームは開発および艦隊戦を行うシミュレーションパートと、自機であるドライビングアーマーで惑星を制圧することが目的(惑星戦)のアクションパートとに分かれているのだが(ただしPC98版はシミュレーションのみ)、シミュレーションパートは総じてバランスが悪い。一方のアクショパートはどのハードも動きがなめらかで、ここにT&Eソフトの開発力の高さを垣間見ることができるのだが、如何せん難易度が高すぎるのが難点か。全体的に雑な感じは否めず、中途半端なデキと言わざるを得ない。オムニバス形式というのは斬新だし、80年代全開のキャラも個人的にはたまらなく好きだ。またストーリー自体がよくできているだけに、何とももったいない作品である。
 なお、浅倉大介、冨田茂、丸山恵市の三氏が作曲した音楽の評価は非常に高く、復刻版のCDも発売されたほど。このうち浅倉大介は「access」というユニットでかつて紅白に出場したこともあるので、ゲームファンでなくともその名を聞いたことがある方は多いのではないだろうか。

<多額のハード購入資金が必要となる>
 ストーリー6「ナーサティアの玉座」は例外的にファミコンでの発売となったが、他はパソコンでの発売。当時、これらのハードを全て所有していた人が一体どれほどいたのか。なにせ、当時のパソコンというのは今と違って簡単に手が出せる代物ではなかったのだ(ハードを全て購入するとなればおそらく200万円は掛かる)。詳細は不明だが、当時こんな企画があったと記憶している。「全機種クリアで判明する、ゲームの謎を解いた人にグアム旅行プレゼント」。これを一人の力で達成することはまず不可能であるし、仮にパソコンマニアの友人がたくさんいたとしても、全機種分プレイするのはかなり厳しい…。
 また、プレス発表会の席上でメーカーの人間が「ザナドゥを超えたい」と発言していたのを何かの雑誌(マイコンBASICマガジンだったと思うのだが記憶が定かではない)で読んだことがあるのだが、どうやらT&Eソフトは本気でこのプロジェクトに取り組んでいたようだ。絵空事だと思っていたのは、まさか我々ユーザーだけだったとは…。ただ、当時のT&Eソフトはかなり信頼できるメーカーだったので、一定の期待感があったのも事実である。
 ラストエピソードを収録したPC98版の発売が一時危ぶまれたものの、全機種が無事世に放たれたのは賞賛に値する。なお、現在ではレトロゲーム配信サイト「プロジェクトEGG」で簡単に入手可能。当時悔しい思いをした人は、今こそ7機種にまたがる壮大なストーリーを楽しんでみてはいかがだろうか。(内田@ゲイム脳)

(C)1986,1987,1988 T&E SOFT,inc.

DATA
発売日…1986年〜1988年
メーカー…T&Eソフト
ジャンル…アクティブ・シミュレーション・ウォー
ハード…PC-8801SR他6機種

【訂正】朝倉大介とありましたが、浅倉大介の間違えです、訂正してお詫びいたします。

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