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「悪魔の詩」を訳し惨殺された大学助教授、自分の死を予言?意外な犯人の噂【未解決事件ファイル】

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 大学助教授が奇妙なメモを残して惨殺された事件があった。殺害方法は中東のテロ組織が良く使う手法である事が確認されたが、関連は不明。複数の容疑者像や事件との関連が疑われる一冊の本など、いくつかの手掛かりを残して、事件は2006年に公訴時効を迎えた。現在も真相は掴めていない。

 事件が起きたのは1991年7月11日。イスラム学者で、筑波大学比較文化学類助教授のAさん(当時44)が、キャンパスのA棟7階のエレベーターホール前で、何者かに惨殺された。翌早朝、掃除の女性に発見された時には、Aさんの首は切断寸前まで深くかき切られ、刃物による複数の切り傷のある状態だったという。すぐに警察と救急車が駆け付けるも既に死亡しており、司法解剖の結果、前日に殺害されたものと断定された。現場には犯人のものと思われるO型の血液と27.5センチの足跡が残されていた。また、数々の謎も残っている。

 事件が起こる約1年前、Aさんはある一冊の海外書籍の翻訳していた。本の名前は「悪魔の詩」。1988年にイギリスで出版された小説で、題材がイスラム教の開祖「ムハンマド」の生涯だったことから、ムスリム社会では冒涜的な内容であると受け取られ、激しい反発を招いていた。

 そのことに関係しているのかは定かではないが、警察の捜査で学内にあるAさんの机から、奇妙な記述がされたメモが発見されている。メモは殺害前数週間以内に書かれたとされ、内容は壇ノ浦の戦いに関する四行詩。日本語とフランス語で書かれてあったのだが、4行目におかしな点が残っていた。4行目、日本語では「壇ノ浦で殺される」と書かれているのに対し、フランス語では「階段の裏で殺される」と表現されていたのだ。実際には、Aさんが殺されたのは7階のエレベーターホール前だったが、メモの発見によって、五十嵐さんは自身に身の危険が迫っていた事を察知していたのではないかとの噂が生まれた。また、2018年の『AERAdot.』(朝日新聞出版)の取材で、Aさんが知人に「狙われている」と相談をしていた事が判明している。

 知人による怨恨、イスラム教徒による報復、右翼団体、CIA元職員はイランの特殊部隊の犯行など、捜査上では様々な容疑者像が浮かび上がった。どの説も犯人特定に繋がる信憑性は薄かったが、異彩を放つ説を唱えた雑誌があった。『週刊文春』(文藝春秋社)の1998年4月30号は、既に容疑者が特定されていたとの記事を記載。事件当時、東京入国管理局は筑波大学に短期留学していたバングラデシュ人を容疑者として捜査していたと報じている。なお、このバングラデシュ人とAさんに何らかの接点があったかは判明していないようだ。この学生はAさんの遺体が発見された当日に成田空港から帰国しているのだが、中東諸国との関係悪化を恐れた日本政府の意向により、捜査が打ち切られたという。

 この説に関しては、なぜ目撃されやすいエレベーターホールで襲撃したのか、なぜ目撃されにくい研究室で襲撃しなかったのか、などの疑問点が挙げられ、個人的な怨恨による大学関係者の犯行の線も否定できないことから、警察は真犯人と断定するには至らなかったとの見方が強い。

 残されたメモは何を示すのか、Aさんは一体何に脅かされていたのだろうか。

引用について
「悪魔の詩」殺人事件 27年目の真実 スケジュール帳に記された<12:GK>の意味(AERAdot.)2018年7月15日
 https://dot.asahi.com/wa/2018071300053.html?page=1

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