「申し訳ない」と繰り返す山口の言葉に嘘はないと思うが、質疑応答の際、一度だけ返答に詰まったシーンがあった。
今回の不祥事は飲酒が引き金となっている。「今後、お酒とどう付き合っていくのか?」と問われたときだ。
山口はひと呼吸置き、神妙な面持ちでこう返した。
「今後、お酒についてはしっかり自分で自粛をして、またこのような軽率な行動、社会人としてあるまじき行動を取らぬよう、お酒との付き合い方もしっかり考えて…」
一般論として、謝罪会見に臨む著名人は事務所関係者や弁護士などと打ち合わせを行う。誤解を与えかねない表現を避けるためだが、もし山口も打ち合わせをしていたとすれば、飲酒に関する回答は本心から出た言葉だろう。
同席した石井一夫球団社長によれば、山口は今季終了までの間、出場停止となる。また、事案の起きた7月11日から会見前日の8月17日までの間、一日につき、年俸300分の1に相当する額の罰金が、そして、出場停止期間中の日数も、1日につき、300分の1の金額が減俸されるという。「3年総額7億円」(推定)で巨人入りしたと報じられており、そこから逆算すると、罰金と減俸は1億円以上になるそうだ。
「石井球団社長は『相当重い処分』と語っていました。たしかに金額から見て、重い処分です」(ベテラン記者)
来季以降も「巨人でプレーしてもらう」と言っていた。しかし、こうも付け加えていた。
「さまざまな方とお話しして、ご意見をうかがう中で、『そういう選択肢』も私たちのほうから用意して意見を聞いたりもしました」
「そういう選択肢」とは、契約解除のこと。本気で“解雇”を検討していたわけだ。石井球団社長は自ら「野球賭博」のことを持ち出し、「あれからまだ時間がさほど経っていないのに…」とも深謝した。「警備員、病院の側から寛大な処分を望むとも言っていただいた」とも伝えており、それでも巨人は厳罰に処したと公表することで“幕引き”としたかったのだろう。
2015年発覚の野球賭博だが、こんな声も聞かれた。
「ドラフトにも大きな影響が出たようです。同年の巨人スカウトは指名選手の入団交渉において、お詫びの言葉から入り、社会人教育を徹底すると口にしていました。指名に至らなかった選手の所属チーム側と話をする際も同様でした。教え子を預けても本当に大丈夫なのかと不安視するアマチュア指導者もいましたから」(学生野球指導者)
山口の不祥事がスカウティングに影響するのを恐れたようだ。
近日中に山口は高橋監督のもとを訪ね、一軍ナインにも直接謝罪の言葉を伝えに行くという。クライマックスシリーズ進出も危うくなってきた巨人ナインは、どんな反応を見せるのだろうか。
会見は30分ほどで終了した。山口は最後も10秒以上、深々と頭を下げてから退場した。