まずは、当時視聴率が絶好調だったフジテレビ。とにかく朝から晩までバラエティ推しだ。朝8時半からは田代まさしによる『田代君のお正月ぐらい勝手にさせて』、続いて『タモリ・たけし・さんまの世紀のゴルフマッチ』、夕方は『新春大売り出し!さんまのまんま』、夜は『オールスターものまね紅白歌合戦』、『なるほど!ザ・ワールド』と怒涛のラインナップ。また、田代が先ほどの冠番組以外に3番組で起用されていたのも時代だ。
それに対して、日本テレビのゴールデンはとんねるずで勝負。番組内容には『ねるとん紅鯨団』、『仮面ノリダー』と他局の丸パクリ企画を堂々と掲載。当時、何をやっても不調だった日テレの節操のなさが垣間見える。
またこの頃、温泉ブームだったということが分かる。TBSの朝9時半からは『超!特選!湯けむりの旅』、フジテレビの昼1時すぎからも『名湯!秘湯!日本の温泉ベスト10』と温泉特番が並ぶ。また、テレビ朝日夜9時からの『必殺仕事人』新春SPのタイトルにも「主水、露天風呂で初仕事」。
異色なのは、TBS系で夜7時から放送されている『加トちゃんケンちゃん ファンタジーワールド』という特番だ。もちろん加藤茶と志村けんによる特番だが、田原俊彦や工藤静香、荻野目洋子、伊東四朗、コロッケら全出演者が、本人にそっくりの似せた体長15センチほどの人形で登場。『オズの魔法使い』や『人魚姫』『はだかの王様』など世界の童話を演じるというものだ。今では考えられないコンテンツだが、日本のテレビ界も、かつてはこのようにもっと柔軟な物づくりができていたのだ……。