残念なことに、昨年7月「骨髄異形成症候群」という難病のためにこの世を去っている。
岡本芳一の人形演劇は、子ども向けの人形劇とはまったく違うアングラ演劇と、不思議なエロチックさにあふれた人形とが絡み合う“オトナ向けの人形演劇芸術”であった。
百鬼どんどろこと、人形師・岡本芳一が亡くなってしまった今となっては、彼の人形演劇芸術を観ることは、現在全国順次公開中の映画『ヘヴンズストーリー』、この春に公開される岡本芳一が自ら製作した映画『VEIN-静脈-』や『VEIN0-静脈-』と、同時上映される岡本芳一の追ったドキュメント映画『人形のいる風景〜ドキュメント・オブ・百鬼どんどろ〜』ぐらいしかない。
しかし、来たる3月2日(水)〜3月6日(日)に、東京・調布市せんがわ劇場で、第2回人形演劇祭 “inochi”が開催される運びとなった。
この人形演劇祭“inochi”では、さまざまな人形が登場する。
イヌの人形やサカナの人形などもあるように、「人形」はヒトガタとは限らない。生物の姿とも限らない。
モノにいのちがあるように感じられたとき、それは“人形”になる。
子どものみならず、おとなが十分に楽しめる深みのある舞台表現。それが人形演劇なのだ。
そうした舞台を一堂に集めた、日本では珍しいユニークなフェスティバル、人形演劇祭“inochi”は、3月2日から、調布市せんがわ劇場で開催される。(http://www.sengawa-gekijo.jp/kouen/ningyouengekisai.html)
元々調布市せんがわ劇場は、昨年の人形演劇祭 “inochi”第1回公演が開かれる予定の場所であった。それと同人、すでに病気で入院していた岡本芳一の主演映画『VEIN-静脈-』が初上映された場所でもある。
日本を代表する人形師・岡本芳一は、存命中にパンフレットの巻頭にこう寄せている。
「『人形劇』という言葉には、どうしても子供向けというイメージがある。人形との表現はもっと自由で、幅広い可能性を持っているはず。それを、この人形演劇祭が世界へ発信していくことを願っている」
そしてこの第2回 人形演劇祭 “inochi” では、人形と人生を歩んできた岡本芳一の足跡を辿れる貴重な展示があるのだ。
◆第2回 人形演劇祭 “inochi” ホワイエ 展示 (無料)
「百鬼どんどろ・岡本芳一の足跡」
期間:2011年3月2日(水)〜3月6日(日)
展示スペース:調布市仙川劇場1Fホワイエ
展示時間帯:平日16:00〜21:00/土曜12:00〜20:00/日曜12:00〜17:30
命のない人形に、命を吹き込む人形使い・岡本芳一をお知りになりたい方、人形という不思議なものに心引かれる方は、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか?
(巨椋修(おぐらおさむ) 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/