「迷惑防止条例違反で大学生を現行犯逮捕。デパート内で携帯電話のカメラを使い女子高生のスカート内を盗撮した疑い」
残念ながら新聞でこうした盗撮事件のニュースが報じられない月はない。当人は軽い気持ちでやってしまったにせよ、逮捕で受ける社会的制裁、そして被害女性の被る羞恥心は決して小さくない。
だが、そもそも撮影音の出る携帯電話で盗撮など本当にできるのだろうか。語るのは裏事情に詳しい専門誌編集者。
「今ではセキュリティーが強化されてしまいましたが、ウィルコムの旧機種には撮影音を止めるプログラムがあり、インターネット上で密かに流通したことがあるんです。また、秋葉原のレンタルケース(利用者が透明ボックス内に販売したい商品を入れ、店側が販売と代金収受を代行してくれる)業者では、撮影音を切った携帯電話が1万5000円で売られていたこともありました。実は、中古の携帯電話を買ってきて内部のある線を切断すればわずか1500円で同じことができるんですけどね」
ただ、いかに撮影音を消せたとしても、カメラ付き携帯を持ってウロウロしているのは不自然極まりない。実は、プロが使う機材はまた別にあった。
日本一の電気街、東京・秋葉原に行けば、店頭のショーウィンドウに盗聴器や超小型カメラを陳列した専門店がいくつも軒を連ねている。
「使う場所が屋外か屋内か、画像だけではなく音声も拾う必要があるのか、撮影時間はどの程度必要なのかによってお勧めする商品を変えている」
専門店の店主は平然とこう言い放つ。表向きには商店の盗難防止や従業員の不正監視など防犯目的をうたってはいるが、購入者は決して善良な市民ばかりではない。
「数年前に大手銀行のATMやゴルフ場の貴重品ロッカーに隠しカメラが仕掛けられ、暗証番号をプッシュする場面を盗撮された事件がありましたが、その時使われたのはRFという会社のカード式無線カメラですよ」と話すのは雑貨店「秋葉原MAD」の服部氏。同カメラは赤外線により暗視機能もあるため、テレビ局の撮影隊が買いに来たこともあったという。録画装置までフルセットでそろえると10万円程度だ。
では、そんな盗撮機器の中で現在最も優れた機器はどのようなものなのか? 秋葉原にある複数の専門店を取材すると「サイズや操作性、画質を総合的に考慮すると、『CAM-007』通称『カムコーダ』が一番でしょう」との答えが異口同音に返ってきた。
この商品は100円ライターよりも小さいため手のひらにすっぽり収まり、袖口に簡単に隠すことができる。毎秒30フレームなので画質は相当滑らか。もちろん音声も同時に録れる。さらに、この種の機器の中で唯一、静止画撮影も可能。暗視機能はないが、蛍光灯程度の照度があればよく、概ね100万画素相当の画質である。気になる値段は2万円弱。4GB(ギガバイト)の容量と画質を考えればまずまずである。
「レンズ穴を開けたタバコの箱に極小の『カムコーダ』を仕込めば、相手に気付かれずに盗撮することも可能でしょう。実際、テレビのドキュメンタリー番組での潜入映像には、そうして撮られたものが多いですよ」(裏モノライター)
潜入取材から犯罪にまで使えてしまう特殊機器が素人にも簡単に買える驚くべき実態。あなたも気付かないところで密かに誰かに撮られているかもしれない…。
◎鳴り物入りで発売されるも性能はイマイチ? 『ペン型ビデオカメラ』を実地検証してみた!
今から2年ほど前に発売され、裏グッズ業界で話題をさらった『ペン型ビデオカメラ』。外形は太身のボールペンで、字も書ける。胸ポケットに差しておけば相手に気付かれることなく真正面から撮影できるというもの。
ボールペンの軸を回すとUSB端子が現れるので、映像はそれをパソコンに接続して見る。充電もこのUSB端子経由だ。フル充電で1時間あまり連続録画が可能。通信販売だと値段は1万4000〜1万9000円前後が相場だ。
果たして本当に広告通りなのか? 実際に購入して検証してみた。
秋葉原の電気街に行けば、5000〜7000円で同じものが買える。早速ノートパソコンに接続して実験開始。確かにカラーで何とか見られる程度の画質だが、いかんせんフレーム数が公称15フレーム/秒と少なく、まるでパラパラ漫画のようなぎこちなさだ。少なくともテレビの潜入映像で見るような動きの滑らかさはない。そのせいか、胸ポケットに差しての撮影ならともかく、手に持って撮影すると手ブレがひどかった。
さて、店頭でチェックしてもらって購入後、自宅で改めてパソコンに接続…あれ? 認識されない? 何度試してもパソコンは反応せず、販売店で交換してもらったが、何と交換品も翌日には認識どころか充電不能に陥ってしまった。極限までの小型化で過充電防止装置がないため、充電時間が長すぎてすぐ壊れたと嘆くユーザーも少なくない。
「この製品は中国製で、故障の苦情が多い割には全くバージョンアップしていないんですよ」とは販売店の本音。この種の機器は国産ではないため、当たり外れが大きいのが実情のようだ。