東京ラウンドを前にこの日は全チームが公開練習を行い、侍ジャパンも最終調整した。練習後は原監督が「われわれが向かう港は1つ。チャンピオンです」と高らかに2大会連続優勝を誓った。
チームリーダーのイチローが打撃不振に陥っており、チーム状態は決していいとはいえない。「イチローが結果を残してくれることが理想ですけど…」と頭を抱える原監督をはじめ、チーム全体がスーパースターに気を遣っている状況だ。
「今大会の日本代表スタッフは気苦労が絶えません。不調にあえぐスーパースターのイチローに気を遣っているのはもちろん、韓国代表の逆鱗にも触れないように気を使わなきゃいけないんですよ。前回大会のような緊張状態だけは、避けたいでしょうしね」(日本代表関係者)
2006年の第1回大会では、イチローが「向こう30年は日本に手が出せないな、と。そんな感じで勝ちたい」と発言したことで、韓国から反感を買った。それを教訓に、韓国チームや韓国メディアが、再び“反イチロー感情”や反日感情を抱かないように、舞台裏ではスタッフが細心の注意を払っているという。
確かに日本代表選手の発言がそれを物語っている。
この日、宿敵の韓国について問われると、日本選手は口をそろえて「韓国がどうのこうのより、1つの試合に勝つこと」(福留)、「相手がどうとかじゃなく、われわれの力を出すこと」(城島)と「対韓国」のコメントを回避。韓国のメディアから韓国チームの印象を尋(たず)ねられた原監督も、「われわれは挑戦するチームという気持ちで戦いたい」とやけに低姿勢だった。
グラウンド内だけではない。「今回の東京ラウンドには、およそ15社の韓国メディアが来ているんですが、主催の読売サイドもとにかく彼らに気を遣っているようです。カメラマンの席割も配慮していますし、日韓のメディアで混乱が起きないようにアナウンスがあったほどです」(前出関係者)
韓国には00年のシドニー五輪、第1回WBC、昨年の北京五輪と、大舞台で1勝6敗と負け越している今回は雪辱がかかる舞台だけに、極力トラブルは避けたいのだ。