「僕らの知り合いに『UFOに拉致された』って証言している人がいるんですよ」
この言葉に筆者は敏感に反応した。
「ええっ?まじなの?ネタとかじゃなくて」
相手はシリアスな顔で反論した。
「いやいや、冗談じゃないですよ。リアルな話ですよ。だって証拠があるんだもん」
―――証拠だって?
証拠という単語に筆者は興奮を抑えきれなかった。
「証拠があるの?いったい何なの、証拠って」
そこにドラムのメンバーが割って入った。
「腕に金属が埋め込まれているんだよね」
「まじで、それってインプラントじゃん」
筆者は今にも立ち上がりそうになった。
「まじも大まじ、指で触ったら、確かに皮膚の下に薄い金属の板が入っているんだよ」
有名すぎる彼らが売名目的で嘘をつく必要はない。また、インプラントを埋め込まれた友人も売名が目的ではないだろう。いや、もし万が一、フェイクの情報だったとしても、自らの体内に金属を埋め込むような人間はいるまい。何者かが、彼の体内に「インプラント」を施したのだ。
(山口敏太郎)