−−食事に行くときは、カウンターの店を選ぶそうですね。それは、なぜですか?
洋七「寿司屋でも食堂でも、そうやね。理由は、つねに話しかけとかんと、流暢に言葉が出てこないから。いろんな人と話してたら、いろんな単語をしゃべるわけやん。それがポンポン、アドリブで出てくるようになるわけ。まあ、もともと、しゃべるのが好きやいうのもあるけど…。若手で金ないいうんやったら、カウンターのラーメン屋でもええやん。たとえば、口に出したら怒られるから、心のなかで、『あのおっさん、かぼちゃみたいな顔しとんな』って思うとする。ここを“かぼちゃ”って言わんと、“冬瓜”やったら、意味がわからんでしょ。冬瓜を知らん人もおるやろうから。みんながわかるようなツッコミに、あえてする。逆に、意味わからんけど、ウケることもあって。『おまえ、ヘモグロビンみたいな顔しとんなぁ』とかは、ヘモグロビンなんか、誰も見たことないわな。でも、言葉のニュアンスで、なんかおもしろい。そういう何万ものパターンをインプットして、頭のなかに入れとかんとあかん」
−−どのレベルの言葉をチョイスするかによって、通じ方や笑いの量は変わってくるんですね。
洋七「数字なんかも、そうよね。『棒高跳び、得意で』、『どれぐらい跳んだこと、あんの?』、『200m』、『そんなアホな!』となるけど、これが“2km”とかになったら、もう意味がわからん。これも自分でやって、経験上でわかるようになった。“40m”やったら、素人はひょっとしたら(跳べるかも)…って思うかもしれんからね。これを1個としたら、それを何十個も増やしていったら、15分ぐらいのネタができる」
−−経験を重ねないと、わからないことですね。
洋七「今の若い子はね、劇場がないのが、いちばんかわいそう。よしもと(クリエイティブ・エージェンシー)さんなんかは、持ってるもん。芸人も、慣れてるやんか。そこはやっぱりね、(劇場を持たない事務所に所属している芸人は)大変やなぁと思うね。劇場で、経験を積まんと。回数をやっても、下手な人は下手やけど、回数を重ねたらだんだんと変わりはするからね。私なんか若いときは、年間300日ぐらい、劇場に出とった。3つあったからね、関西に。京都(京都花月/現在はよしもと祇園花月)と梅田(うめだ花月)と難波(なんば花月/現在はNGK)に。若いのが少なかったからね、当時は。つねに出られる。そらあ、鍛えられるわ」
−−自信を持つということも、大事ですか?
洋七「オチに向かって、100%の自信を持っていかんと、笑いは半減するよ。自信は顔に出るからね。ネタを忘れて、上向いて『ネタが…』って言うてもうたら、お客さんは引いてまう。ネタなんて、最初から決まってる話やからね、初めてしゃべるような感じで話さないと。そのために、ものすっごい練習するのよ。俺らB&Bは、練習量だけはどこにも負けへんかったからね」
【次回の『島田洋七vsオスカー芸人 第3弾』は8月26日(月)、19時開場、19時半開演で、東京・原宿 ヒミツキチオブスクラップで行われる】