ごくたまに、1着なしで優出してきた選手が、SGタイトルを取ってしまうことがある。オーシャンカップでは、8回大会・蒲郡の辻栄蔵がそうだった。今シリーズここまでの重成一の成績を見て、こんな書き出しになってしまったのだが、彼の場合は、初日からきれいに2着を並べている。何という手堅さ!
「エンジンに連れて行ってもらっています」
好調の要因について、まず一言。よく聞く言葉だが、今シリーズの重成もまた、基本的にアシがいい。前検の第一印象は「可もなし不可もなし」だったのが、プロペラを合わせるほどに、本来のパワーが出てきた。初日の段階で、まずまず納得できる乗り心地になり、ハンドリングが実にスムーズだ。外枠のレースでも回ったところからしっかり伸びるから、2着を取れている。
「ただ、ピット離れがイマイチで、初速のスピードの乗りがもうひとつ。3日目は回転を抑えすぎていましたね」
プロペラが決まっていないのも心配点だが、それ以上に今節は乗れている。何せオール2着のこれまでは、1枠なしの結果なのだ。そして予選ラストに回ってくる流れ…得点率トップが狙えて、その勢いで準優→優勝と進んでいける。しかも、その10Rの相手を見れば、本人が危惧するピット離れで、プレッシャーをかけてくる艇が見当たらない。当面の敵となる山崎智が「アシは中堅上位あるけど、コーナーで焦っている」なら、逃げ切る公算が非常に強い。どうやら重成の2着続きは、ここで途切れる。ここからはピンピンピンと、(1)を積み重ねるパターンだ。インの強い今節、決して夢ではない。