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日本人メジャーリーガーはどうなる? 「カート・スズキ=アスレチックス」(番外編)相撲ファンの日系三世が松井を救う

 第2回WBCで日本代表チームが編成されたとき、「代打も可能な右打者の層の薄さ」も指摘された。当時、米メディアが「彼を招集すればいいのに」と伝えたのが、オークランド・アスレチックスの正捕手で、日系三世のカート・スズキ(27)だった。

 スズキの存在が日本でもクローズアップされたのは、レッドソックスが日本で開幕ゲームを開催した2008年3月だった。その対戦チームであるアスレチックスの異色選手として、紹介されたのである。
 彼はハワイ・マウイ島の出身。プライベートではいつも貝細工のネックレスを身につけているので、その意識はかなり強いと思われる。また、先の開幕ゲームで来日した際、祖父母が名古屋出身ということで、その親族をわざわざ訪ねている。日系人として、日本とハワイの両祖国を大切にしているようだ。そんな義理堅い一面もそうだが、昨季、「捕手防御率リーグ1位」に輝いたのは、コミュニケーションのきめ細かさによるものではないだろうか。

 昨季、スズキの「捕手防御率」は3.29。メジャー30球団ではカージナルスのヤディアー・モリナがトップだが(3.24)、アスレチックスとカージナルスの投手事情を比較すると、実質、スズキがナンバー1と言っていい。アスレチックスは昨季、チーム防御率が30球団トップだが(3.56)、先発5人の平均年齢は23歳。カージナルスには20勝投手のアダム・ウェインライト(30)、昨季35試合に先発したクリス・カーペンター(36)など『大人』が多い。日本的な言い方をすれば、スズキは「投手陣を牽引する捕手」なのである。
 また、打撃力は昨季もチーム最多タイの71打点を挙げたように、定評がある。ビリー・ビーンGMも、昨年7月に4年契約を新たに交わしたほどだ。アスレチックスにおいて4年の長期契約は異例中の異例であり、トップクラスの評価を受けたとも言える。
 スズキはハワイ出身の格闘家、BJペン(柔術)の大ファンだという。郷里の英雄・高見山の影響で日本の相撲にも興味があり、松井秀喜にも積極的に話し掛けていた。松井を復活させるカギは、この男が握っているのかもしれない。(スポーツライター・飯山満)

 外国人選手の方仮名表記はベースボール・マガジン社刊『月刊メジャー・リーグ』を参考にしました。

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