8対4とソフトバンクがリードして迎えた8回裏。4番手の投手としてマウンドに上がったモイネロは、先頭打者のカルロス・ペゲーロをオール変化球で空振り三振。これで勢いに乗ったのか、モイネロは続く今江年晶・オコエ瑠偉からも3球で三振をマーク。これにより、見事に「3者連続3球三振」を達成している。
投じた9球の内、バットに当たったのはオコエへの2球目だけだったというモイネロの投球。その影響もあってか、その後9回表にダメ押しの4点を奪ったソフトバンクは12対4で楽天に勝利。3連勝を飾ったチームは、首位西武とのゲーム差を「2.5」に縮めている。
逆転を狙う楽天打線から、反撃の芽をひとつ残らず摘み取ったモイネロの快投。これを受け、ネット上には「モイネロすげええええ」「今日はキレッキレだったな」「打てる球無かったね」といった称賛の声が挙がっている。
2017年4月25日の楽天・松井祐樹以来、パ・リーグでは2年連続の達成となった「3者連続3球三振」。こう見ると何度も達成されているように見えるこの記録だが、実はプロ野球の歴史上この記録が達成されたのは、今回を含めて19回(18人)だけ。投手にとって最高難易度の記録である「完全試合」の回数が15回ということを考えると、それに匹敵する世にも珍しい記録と言ってもいいだろう。
ちなみに、現在プロ野球を形成する12球団の内、ソフトバンクと西武にはこれまで記録達成者が存在していなかった(前身も含め)。今回モイネロが達成したプロ野球史上19回目の快記録は、ソフトバンクの歴史においては“史上初”の記録でもあったのだ。
デニス・サファテ、岩嵜翔といった離脱者の穴を、これまでもしっかりと埋めていたモイネロ。今回記録的な投球を披露したことで、その左腕にかかる期待はますます大きくなっていくことだろう。
文 / 柴田雅人