レース後、勝利の立役者である柴田善騎手は「いつも通りのリズムで運べた。スタートも出たなりで構わないと思っていた」と勝因を語った。
アサヒライジングを含めてテンを主張したい馬はかなりそろっていたはずだった。が、アサヒ以外は軒並みスタートがいまひとつで、無理にハナを奪うようなことはしなかった。結局、アサヒは何もせずに“すんなりハナ”という幸運が天から降ってきた。
自ら刻んだ前半5Fのレースラップ(12秒3→11秒3→12秒5→12秒0→12秒1)が、「いつも通りのリズム」を顕著に現している。その上、最内枠+平坦の小回りと、逃げ馬にとって絶好の条件がそろったとあれば、まず負けようがない。
もっとも、「馬もリラックスして走っていたね。横にブレることもなくなってきたし、だんだんとしっかりしてきた」とジョッキーが言うように、もちろん、展開利だけでの勝利ではない。
この日の馬体重はプラス12kgの518kg。一見、太め残りとも思える目方での出走だった。今回、念願の重賞トレーナーとなった古賀慎師も「体はずいぶん大きくなっていたね。今日は“力”で押し切ってくれた」と正直に話している。それでいて結果を残すのだから、この馬体増には成長分も含まれている。馬に力がついてきたという証拠だろう。この日は直線に入っても、時折見せていたモタれる癖も一切出なかった。
「この馬にはアメリカまで行かせてもらっているからね。秋(エリザベス女王杯)に大仕事をしてもらいたい」
残る課題はハナを切れなかったとき。GIレベルになれば当然、「いつも通りのリズム」は他馬が許さない。競りかけられた時に、どういった対応をするのか。秋までにその答えを見つけることが、真の女王へ輝くための試練となる。