大阪市は早期退職制度を使った3月末の希望退職者が、650人に上ることを明らかにした。昨年は331人で、ほぼ倍増となる。退職者が多いのは交通局の217人がトップで、各区役所が125人、こども青年局が45人で続く。交通局においては、前年同月比の実に18倍もの早期退職者が出てしまった。
これは、橋下市長が特にターゲットにしたのが交通局だからでもある。「給与水準を民間並みに」と方針を示し、近い将来の民営化も視野に入れていた。特にネックとなっていたのが赤字部門のバスで、4月にバスから黒字部門の地下鉄に職員54人を異動させる予定だったが、早期退職者が続出したことで、「このままではバス運行などに支障が出かねない」と配置転換を中止にした。さすがに、バスの運転手は資格や経験が必要で、欠員が出たからといって、急場しのぎで事務系職員をあてがうわけにもいかない。ヘタをすれば、4月以降、バス運転手が足りず、通常な運行ができない懸念も出てくる。
退職者は早期退職者だけではない。定年退職者もいる。定年退職者は696人おり、トータルで1346人もの職員が去ることになる。交通局にとどまらず、配置の見直しや民間への委託を考慮しないと、業務自体に支障がでかねない。
早期退職制度は退職金が最大2割増しとなるだけに、待遇が悪くなる4月以前に、辞めた方が得策と考えた職員も多いのだろう。大量の退職者が出る4月以降、市民の足である市バスが通常に運行されることを願うばかりだが…。
(蔵元英二)