これを受けて、同29日、政府は北朝鮮が日本人拉致被害者と、拉致された疑いがある特定失踪者について、包括的、全面的な調査を約束したと発表した。北朝鮮が今後、3週間前後で特別調査委員会を設置する。一方、調査開始時点で日本側は、対北朝鮮制裁のうち、人的往来の規制措置など、一部を解除する。
02年9月、北朝鮮が日本人拉致を認め、政府が被害者に認定した17人のうち5人は帰国したが、残り12人の安否は不明のままだ。その後、拉致問題は一向に進展せず、両国間の関係も微妙な空気のまま。今協議で北朝鮮が約束したことを実行するかどうか、見守るしかない。
そんななか、5月19日、かねて北朝鮮とのパイプを持つ参議院議員(日本維新の会所属)でプロレス団体IGF会長であるアントニオ猪木氏が8月30、31日の両日、北朝鮮の首都・平壌で、「インターナショナル・プロレスリング・フェスティバルin平壌」を開催することを発表した。
同イベントは、猪木氏と北朝鮮の国際武道競技委員会委員長の張雄(チャン・ウン)氏が共同実行委員長を務める。会場は2万人の動員が可能な柳京・鄭周永体育館で、プロレス、格闘技の試合、テコンドーの演武が行われ、世界各国から20名程度の選手が参加する予定。
猪木氏は新日本プロレスの協力を得て、95年4月28、29日に平壌で、「平和の祭典」と題したプロレスイベントを開催し、計34万人を動員している。今回、約19年ぶりの北朝鮮でのプロレス興行となる。
「北朝鮮に対して圧力をかけることばかり考え、対話の精神が欠けている。圧力一辺倒で人は動きません」とする猪木氏は、「スポーツ交流を通じた外交」で、両国間に横たわる懸案を解決する方向に向かわせるきっかけとしたい意向だ。
そこで、「Yahoo!ニュース」では、「アントニオ猪木氏の北朝鮮独自外交をどう思う?」との意識調査を、5月20日〜30日に実施。6万1630票(男性=81.5%、女性=18.5%)の回答があった。
その結果は、「賛同しない」が4万8141票(78.1%)で圧倒的多数を占め、「賛同する」は10385票(16.9%)にすぎなかった。「その他/分からない」は3104票(5.0%)だった。
「賛同しない」に回答した人の大多数は、「私人としてならともかく、国会議員の公人の立場でやることではない」といった趣旨の意見であった。
3カ月後に迎える同イベント。果たして、両国間の関係良好化の一助になるのか?
(リアルライブ編集部)