厚生労働省の「男女の生活と意識に関する調査」によると、初めて初体験の感想では、虐待経験のない人は「うれしかった」が半数近く。対して虐待経験のある人は「うれしかった」は約3分の1程度で、否定的な感想が27.9%。
それだけではない。リストカットなど自傷行為については、虐待経験のある人は虐待経験がない人に比べて5〜6倍も多い。あまり知られていないことだが、現代の中高生の10人に1人は自傷行為をやっているのだ。
児童虐待は近年になって注目されるようになった。近年になって公共機関やメディアが注目されるようになったからで、実は昔からあったともいわれているが、ハッキリとしたことはわからない。どちらにせよ、児童虐待がその児童の将来に大きな傷となることは間違いないようだ。
児童虐待をする親は多くの場合「しつけのため」「教育の一環」という言葉を使う。例えば身体的虐待は、子どもが重傷や死にいたるような体罰や暴力。「しつけのため」といってほとんど食事を与えないということもある。これらは決して「しつけ」でも「教育」でもあるまい。
では、どういった親が虐待をする傾向が強いのかというと、富裕層よりも貧困層が圧倒的に多い。ある調査では虐待をする親の約半数が貧困層である。また、親の学歴は中卒、高校中退が全体の約4割を占め、大卒の親による虐待はほんの数パーセントと少ない。
なぜ虐待をしてしまうかというと、生活していくうえでのストレスや、子どもに愛情を感じない、アルコール依存症、親自身にも虐待を受けて育った経験がある、等だ。
児童虐待は、その子どもに大変大きな悪影響を及ぼすので、自覚のある親は相談機関に行ってほしい。また、児童虐待を発見した人は児童相談所や役所の担当窓口に通告する義務があるとのこと。少しでも児童虐待が少なくなることを願ってやまない。
(巨椋修(おぐらおさむ)・山口敏太郎事務所)