とうとうヒクソンが最終決戦の腹をくくった。この日のHERO'Sでミノワマンと対戦した弟子のケビン・ケーシーに帯同する形で来日したヒクソン。タンクトップに短パンというラフないでたちで会場入りすると、第4試合に行われた弟子のデビュー戦のセコンドについた。
ミノワマンに惨敗した弟子を険しい表情で見守ったヒクソンだが、休憩後には満面の笑みでリングに登場するとHERO'Sファンにあいさつした。「コンバンワ、ジャパン」。2000年の「コロシアム2000」で船木誠勝を下して以来初めて伝説の男が日本のリングに上がったことで、会場のボルテージは最高潮に達した。
7年の沈黙を破ったヒクソンが続ける。「HERO'Sのリングに上がってファイターとして血が騒ぎます」。そう切り出し胸中をブチまけると「そのときはセコンドとしてではなく、戦うためにこのリングにあがりたい」「永遠に戦うことはできないが、もう1戦、闘うことができる。近い将来その舞台が訪れることを望む」などとHERO'S出撃を表明した。
するとこの日の興行で桜庭和志やミノワマンらが対戦に名乗り。当の本人はあくまで対戦相手は「プロモーターから言われる選手」としたが、ミノワマンには「技術で驚くことはなかったから…」と眼中にないことを通達し、再戦要求していた船木誠勝も「一度勝っているから自分からはオファーしない」とバッサリ。ただ、対戦ラブコールを受けた桜庭にだけは「興味あるうちの一人」と呼応してみせた。
ヒクソンVS桜庭が有力となったが、時期については谷川貞治実行委員が「一番早くて大みそかですね。対戦相手を含めてこれから交渉します」。とはいえ、大みそか決戦の交渉が難航するのは必至の情勢。なぜなら今大会にヒクソンを担ぎ出した舞台裏にも相当な苦労があったからだ。
「今回ヒクソンは弟子のケーシーがプロデビューすることと、そのセコンドという名目で来日したんですが、どうしてなのか、結局来たのはケーシー来日の翌日でした。しかも、ケーシーが会場近くのホテルに泊まったにもかかわらず、なぜかヒクソンは別の高級ホテルに宿泊。大みそかもあのVIP待遇を用意しなければなりませんから考えものですよ」(HERO'S関係者)
大みそか決戦の障害はそればかりではない。今度はHERO'Sを放送するTBS関係者がため息をつく。「当初2、3億円というベラボーなファイトマネーを要求していましたが、そんなんじゃ採算ど返しもいいところ。とはいえ、いまだに法外マネーを要求しているようで、今回の来日中にどう折衝できるかでしょう」。
HERO'S電撃参戦を表明したヒクソン。今後の動向からますます目が離せなくなってきた。