その裁判が5月25日、東京地裁で行われた。問題の巡査部長は工藤純夫被告。
「長らく会計畑で働いてきた彼は、当時も湾岸署で総務部会計課に所属し、拾得物や遺失物の管理を担当。落とし物として届けられた現金は金庫に保管され、落とし主が見つかれば本人確認を行いシステムに入力、受領書も作成し決済を受ける決まりになっていました。ところが現金は落とし主が見つかりにくいことから、たびたび窃取。『落とし主が見つかった』とシステムに入力し、受領書も作成したうえ、決済印の入っている保管庫の鍵を勝手に開け、自分で押印していたのです」(司法記者)
また当時、湾岸署の金庫の鍵は誰でも開ける事ができる状態だった。盗んだ金は、パチンコなどの遊興費に充てていたという。
給料は手取り約27万で、その半分以上をパチンコにつぎ込んでいた工藤被告。15年ほど前に家を新築したことで小遣いが減り、以降はサラ金から借金をするようになった。
「盗んだ金の弁償は義父に行ってもらったのですが、義父が金と引き換えに出した条件は『妻と別れる事』。結果、仕事もクビになり、妻と高校生の長女は家を出て行き、長男と2人暮らしに。その家も、ローン返済のために手放す事になったのです」(同)
全てを失った工藤被告は法廷で「この事件で、娘も学校に1カ月ぐらい行けない日が続いた…」と、離ればなれになった娘を思い、涙ぐむ始末。この日、傍聴席には見学の女子中学生が25名ほど座っていた。娘と同年代の女の子たちに傍聴され、なおさら惨めに見えたわけだが、なぜか犯行には自信を持っていたようだ。
工藤被告「やっても見つからないという自信がありました」
裁判官「(びっくりしながら)その自信、どこから?」
工藤被告「長年、会計に従事した関係で、うまくやればバレないと…」
やはり人生ゼロからやり直すのが妥当か。判決は6月12日に下される。