しかし、西武は各メディアにドラフトのことを聞かれると、「投手だけではなく、全ポジションで幅広く」と当たり障りのないことを答え、ビッグ3(藤岡貴裕=東洋大、菅野智之=東海大、野村祐輔=明治大)に関しても、即戦力と高く評価をしつつも、「他球団との競合になると思うけど、ウチは2年連続(09年菊池、10年大石)でクジを当てている。ドラフトまでマークしていく」(『週刊ベースボール 11・5/11号』)とコメント。他球団のようにリップサービスしてくれないのである。自分たちの手の内を暴かれるのも嫌う傾向が強い。その一貫した姿勢があったからこそ、ドラフト勝者になれたのだが…。
こちらがキャッチした限りでは、6月のスカウト会議の段階でリストアップされていた候補者は100人強。8月で半分に絞ったとも聞いているが、ドラフト直前まで1位指名を決めないのも西武のやり方だ。
高校生では唐津商の北方悠誠投手(右投手)を好評価しているようだ。150キロ強の直球も魅力だが、作新学院との一戦を見ていた某スカウト(別球団)は、粗削りな投球フォームを指し、「これから伸びる逸材」と評していた。西武は次の世代のエース候補として、北方投手をマークしているのは間違いない。
現投手スタッフのなかで、左の主力投手は石井一久、帆足和幸、菊池雄星。ベテランと未熟なプロ2年目だけでは心配である。くじ運の強さを信じて、まずはビッグ3の左腕・藤岡の抽選に参加し、外した場合は「北方投手を…」という方向性ではないだろうか。
高校生は進路問題があるので、軽率なことは言えないが、旭川龍谷高の好左腕・金沢一希投手に対し、西武・鈴木球団本部編成部長はこう評していた。
「楽しみな投手だと思う。体の強さ、バランスもいい。これから伸びる素材」(6月)
数少ない具体的なコメントである。他球団の話では「西武は北の方でも熱心」とのこと。目的はJR北海道・武藤好貴投手(右投手)だろうか。西武スカウトの動きに注目していきたい。(スポーツライター・飯山満)