その言葉が最もふさわしいプレーヤーかもしれない。
2019年のレギュラーシーズンを終え、丸佳浩は4年連続でリーグ優勝を経験したことになる。2年連続でのMVPなど、昨年までの広島での活躍に勝るとも劣らない存在感を、新たなユニフォームでも見事なまでに見せつけた。
1993年のFA制度導入以降、多くの大物選手の巨人への移籍が行われてきたが、それぞれが一年目はことごとく重圧に苦しみ、満足な結果を残すには至らなかった。だが、丸の今季のパフォーマンスは実力を十二分に発揮、打撃のみならず、外野手としての能力の高さを披露し、攻守でチームの支柱となった。
特に、丸が加わった今季の巨人打線は、『相乗効果』が年間を通して見られた。開幕当初から2番、または3番に名前を連ねると、同じく打順上位を形成する坂本勇人、岡本和真らへと繋ぐバッティングにも徹し、チャンスメイクを果たす。特に、坂本の今季のブレイクは丸が加わった影響が大きく、常に二人が並ぶ打順は相手投手への脅威となり続けた。序盤から不振が続き4番として昨年ほどの数字を残せなかった岡本も、本塁打は今季も30本の大台に乗せることができたのも、同じ長距離打者の丸の技術を身近で感じたからに他ならない。
丸が次に挑むのは更なる頂点だ。5年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた巨人は10月9日からクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを戦う(対戦相手未定)。丸にとってのこれまでのポストシーズンはどちらかというと苦しんだ場面が思い浮かぶ。過去3年間での平均打率が2割台前半、特に昨年の日本シリーズでは徹底マークに遭い、好機ではほとんど仕事をさせてもらえなかった。打線の最重要選手であるだけに、これまでの短期決戦では「逆キーマン」として封じ込められたことは明らかだ。
丸自身、未だたどり着けていない日本一へ向け、迎えるポストシーズンでも、その打棒を発揮できるかが勝負の行方を大きく左右することは間違いない。「チーム一丸となって日本一を掴みたい」。シーズン終了後、そう語った丸。ジャイアンツにとっても2012年以来届いていない栄冠を掴むため、背番号8の優勝請負人が果たす役割はけっして小さくはない。(佐藤文孝)