この日、田上明新社長になって初めてのツアーを迎えたノア。
試合前に田上社長がリング上にあがり「三沢社長があのようなことになり、このたび後任の社長に就任いたしました田上です。天国の三沢社長に叱られないようの選手いちどう頑張りますので、これからもノアをよろしくお願いします」と、2100人超満員のファンに所信表明している時、舞台裏ではとんでもないことが起こっていた。
控え室であいさつを済ませた百田前相談役が、報道陣の対応に応じ「『選手としても、社員としても辞表を受理しました』と(10日に)早川から言われた」と明かしたのだ。
今回辞表を提出するに至ったのは、背広組に対する不信感及び新役員人事に不満があったため。「7月4日のお別れ会に関しても旅先で聞いた。(その時点で)役員は誰も聞いていなかった。(日程を)決めたのが仲田龍だった」とズバリ。
さらに「営業成績が下がってきているのに役員に昇格。そんなバカな人事があるか」と営業部長の役員昇格に不満タラタラだ。
百田氏によれば、6日の役員会で前役員は任期満了に伴い、総退陣という形をとったが、その後の臨時株主総会で、筆頭株主である三沢真由美夫人から委任状を託されていた早川常務から相談役への就任を打診されたという。
その時点で「早川久夫にそういうことを言われる筋合いはない。影響力を持てる立場だったら残っていた」「思うのは(三沢前)社長が亡くなった時点で、(裏で)なんらかの動きがあったんじゃないか」などと、不信感は頂点に。一睡もせず辞表をしたため「父(力道山)が相撲を辞めて廃業する時にマゲをきった時と同じくらいの気持ちで辞表を提出した」と決意の退団であることを明かした。
田上社長は百田相談役の体制批判について「辞めていく人は不満があって辞めていくんでしょうね。ノアに残された道はみんなで一緒になってやっていくしかない。このご時世生き残っていけない」と一致団結を強調した。
今こそ“一枚岩”になることが迫られているノア。そのためのキーマンとなるとやはり仲田龍相談役の力が必要になってくる。
仲田相談役といえば、三沢さんの参謀として“ノアを創った男”としても知られ、2008年には英国で初の海外主催興行を成功させるなど数々の実績を残してきた。
それだけに、今後は相談役という立場の“舵取り役”として、その手腕に期待が集まる。