日本ハムが「新球場建設」に動いた主な理由として、球場使用料や諸経費負担で約13億円の賃貸料を支払って本拠地にしていることが挙げられているが、近年では、各球団が本拠地球場の運営権、または関連会社が運営する自前の球場を買収などの形で所有することで、利益を上げることに成功している。ソフトバンク、ロッテ、オリックス、DeNAなどはその筆頭と言ってもいいだろう。
日本ハムはグッズの売り上げなども一部を、施設を運営管理する第3セクターの株式会社札幌ドームや、施設を所有している札幌市に払っており、行政が間に入っていることで、ファンサービスなどの遅れにも影響を及ぼしていることから、球団は「新球場設立」に傾いて行ったとされている。札幌ドームは札幌市から撤退されることを恐れて、慰留に努めたが失敗に終わったようだ。今後、しばらくはサッカーのクラブチーム、北海道コンサドーレ札幌による試合(サッカーの試合開催時には外から天然芝が入る仕組みになっている)と、コンサートなどイベントが主体となり、札幌市は大きな収入源を失うことになる。
その結果、今年3月に球場設立の候補地は、札幌市に隣接する北広島市の「きたひろしま総合運動公園」に決定。新球場は2020年5月着工し、2023年3月に開業予定。周辺にホテルや温浴施設などの商業施設を配置した「ボールパーク」を整備するとのこと。新球場は屋根が開閉式のドーム球場になる予定で、もちろん芝は天然芝が採用される。一度公開された「完成“予想”図」はファイターズタウンの名に相応しい夢を感じるテーマパークのようなスタジアムだった。
日本ハム球団は「2016年12月19日に公表しました“新球場建設構想に関するタスクフォースの設置について』および2018年3月26日に公表しました『新球場建設構想における候補地の決定および準備会社の設立に関するお知らせ』にてお知らせした通り、日本ハムグループに設置した協働体制のタスクフォースにおいて、建設候補地の選定、新球場の基本設計および事業としての実現可能性の検証など、建設に向けた具体的な取組みを進めてまいりました。最良のプレー環境と先進技術を駆使した設備にもたらされる臨場感あふれる空間と、食とスポーツを融合させたエンターテイメントを体験できる場を提供することで、ファン・顧客の満足度向上はもとより、地域社会の活性化やグループ独自の取組みである食とスポーツを柱とするCSR活動のさらなる推進が可能となります。正式決定に至るまでの検討の経緯や、建設計画などの詳細につきましては近く開く記者会見の場で説明する予定です」としている。
関係者によると、会見では「新球場建設の正式決定について」「行政機関との協定締結について」「新球場計画について」の3点について、北海道庁、北広島市、日本ハム株式会社、株式会社北海道日本ハムファイターズ、株式会社北海道ボールパークの関係者が出席し、説明するとのこと。
数々のスーパースターを輩出する全国的にも人気球団が、ついに自前の球場を持つことになる。発表が楽しみだ。
取材・文 / 増田晋侍
写真 / 舩橋諄