岡田ジャパンは、大事なW杯行きの切符をかけた、最後の戦いを前に「史上最弱」のレッテルを貼られてしまった。サッカー関係者の間からも「ホントに大丈夫なのか!?」と心配する声ばかりが漏れ聞こえてくる。
8月の北京五輪ではU-23(23歳以下)日本代表が予選リーグで敗退。1勝も挙げることができないまま北京を後にしたのは記憶に新しい。しかも選手たちの口からは、反町康治監督への“造反”までおきた。それだけに、岡田ジャパンもその二の前になるのではないか、と懸念される。
それでなくても、8月20日に行われたウルグアイとの親善試合で1-3と惨敗。国内合宿の総仕上げとなった1日には流通大学にまで0-1で敗れている。
笑顔を全く見せず、鉄仮面状態に陥った岡田武史監督は「今までやってきたことが出せていない」と渋い顔。自らの戦術がチームに浸透していない現状にイラ立ちを隠さなかった。
しかし「FWにポストプレイヤーがいないことで、中盤と前線とが連係しない。結局パワープレーに頼ざるを得ず、単調な攻撃ばかりが繰り返される」(スポーツ紙サッカー担当記者)というのが現状。FW陣がスピード型中心の構成自体に問題があると指摘する声は絶えない。
岡田監督が初戦から「背水の気持ち」と不安をもらしたことで、選手たちのモチベーション低下につながっているという。「明らかに選手は硬くなっているよ。初戦が重要なのはわかるけど、まだ戦ってもいないうちから“背水”では、選手は重い十字架を背負わされたようなもの。あれでは選手たちは気合が入るより、むしろ萎縮してしまう」(前出の記者)。
チーム内には悲壮感さえ漂っているほどだ。
岡田監督が悲壮な決意をにじませるのにはわけがある。サッカー専門誌の記者はいう。
「反町監督のことがあっただけに、監督交代の話はすぐに噴出する。それでなくても、犬飼(基昭、サッカー協会会長)さんは結果至上主義者。バーレーン戦に負ければ、まずは小野剛強化部長の進退が問われる。そして、第2戦でも勝ち点を拾えないようなら、今度は監督が責任を問われる。もちろん更迭です」
犬飼会長は、バーレーン戦後に岡田監督と会談を持つことを明言している。
1997年、日本がW杯初出場を決めたときに岡田監督は、結果を出せず途中で更迭された加茂周監督の後を引き継いで、“ジョホールバルの歓喜”を演出した。しかし、今度は自らが更迭の呪縛に怯えることになりそうなのだ。
初戦の相手となるバーレーンは一筋縄ではいかない相手。今年3月の3次予選アウェー戦では0-1で敗れており、チーム内には危機感が蔓延している。
バーレーンのミラン・マチャラ監督は、相手チームの研究に長けた知将。実際、3月の一戦では日本の司令塔、中村俊輔の左足を警戒し、ディフェンダーを終始左サイドに張り付かせて完封した。日本でのホーム戦では中村俊が右足でシュートする機転を見せ、何とか勝利を奪ったが、マチャラ監督は再び何らかの策をろうしてくることは必至。岡田ジャパンは戦々恐々としている。
「日本はかなり研究されている。選手個々のデータはすべて把握していると言われています。ただでさえ調子の上がらないチーム状態の中で知将に策まで施されたら、苦しい戦いになるでしょうね」(別のサッカー専門誌記者)
“背水の陣”を敷く岡田ジャパンだが、暗雲が立ち込めている。